盛岡タイムス Web News 2011年 6月 6日 (月)

       

■ 〈幸遊録〉22 照井顕 疋田多揚のスイングな日々

 朝日新聞盛岡総局の記者・疋田多揚(ひきた・さわあき)さんが、5月末久しぶりに開運橋のジョニーにやって来た。本社政治部への転勤だという。そう、あれは3年前…古い歌の文句がふと浮かぶ。「スイングな日々」という、僕がジャズピアニスト・穐吉敏子さんに魅せられた様子を読者に伝えるべく、同紙の岩手県版に08年5月10日から1週間6回の連載記事を書いてくれた若き記者である。

  「穐吉敏子」の資料が未整理のまま、ほぼ肥料化していたものを発掘させられ、あいまい極まりない頭の中の整理までしなければならないことになった、大変な取材だった。彼は、自分の休日までも返上して何度も何日も店や自宅に通ってインタビューし、それを裏付ける資料を探し出し、記事にまとめるという作業をやってのけたのだった。

  お陰で僕はその翌年(09年)から10年までの2年間、盛岡タイムスに「トシコズ・ドリーム」と題するコラムを100回連載することができた。そのきっかけを作ってくれたと感謝している。

  @「店主の熱意に根負け・ソロコンサート」A「秋吉の“孤軍”に衝撃・日本ジャズ専門店」B「企画次々借金膨らむ・500回ライブ」C「人間秋吉が身近に・曲のプレゼント」D「最後のCD録音も・記念館の夢」E「夢追う楽しさ見守り・巣立ち」というタイトルでの連載は僕にとっては「恥ずかしくも誇らしいもの」でした。

  その彼・疋田さんが「3・11の津波で街がさらわれた陸前高田へ行った時、“ジョニー”があった近くの泥の中から、掘り出してきたレコードです」と言って僕に差し出した1枚。

  それは、ズタズタに傷ついた裸のもので、ラベルを見れば、これまたビックリ!の、30年前に僕が制作・発売した(和ジャズ名盤200選)新潟のピアニスト小栗均(山本剛の師)トリオの「みどりいろの渓流」だった。

  何という“再会”だろう。まるで6月の今を思わせる「霧にけむる深い山々の懐を、透明な美しさを湛えて流れるジャズのひととき。新潟のベテランピアニスト・小栗均のブルースをあなたに」のキャッチフレーズを思い出させたそれは、幻想の縄文ジャズレーベル「ジョニーズ・ディスク」の盤だった。
(開運橋のジョニー店主)

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