盛岡タイムス Web News 2011年 6月 12日 (日)

       

■ 〈幸遊記〉23 照井顕 カンノ・トオルの雨の慕情

 「高田の火葬場で避難生活している人たちはだいぶ減ったが、今も十数人いる。でもここには、誰もコンサートなどの慰問に来てくれる人がいないから、マスター!誰か連れて来て演ってくれませんか」。陸前高田斎苑の隣にある光照寺の住職・高澤公省和尚からの電話だった。

  それから3日後の5月25日の午後3時からと日時を決め、盛岡から僕と、ホープガールでCDデビューしたばかりの金本麻里。伴奏者は矢巾町から澤口良司(ドラム)、奥州市から後藤匡徳(ピアノ)、一関市から菅原修一(ベース)。それぞれ現地で拾い、合流しながら陸前高田へ。

  斎苑に着くと、高校生だったころの石井先輩や昔に知った顔が並んでて、その中の一人、及川兵而氏から「照井さん、これカセットにダビングしてくれないかなぁ」と言って差し出されたレコードは「ギターで綴る演歌大ヒット曲集・雨の慕情」だった。

  水をかぶった跡があったけれど中身は無事。預かってきてダビングして送った。そのレコードは僕にくれるという。ありがとう!。及川さんはカンノさんのファンだったというのが話の内容で解かった。

  ギター奏者・カンノ・トオル(本名・暢)は、岩手県住田町の出身で大正11年(1922年)生まれ、盛岡中から慶応大へ進み、マンドリンクラブでギターを弾いた。入社したテイチク・レコードでは制作部長まで務めた人で、自らギタリストとしても大活躍。

  映画音楽やポピュラー、タンゴ、ラテン、歌謡曲など幅広いジャンルを演奏した。レコードはLPだけでも200枚近いはず。「カラオケ」の名付け親でもあった。

  そういえば昨10年6月5日、紫波町「あらえびす記念館」で行われた「ピアノと南部鈴の調べ」(小川典子・ピアノ。菅野由弘・作曲)のコンサートの時、由弘氏にカンノ・トオルさんの息子さんですよね?と声をかけたことを思い出した。

  由弘氏はNHK大河ドラマ、高橋克彦氏の「炎立つ」、宮澤賢治の「グスコーブドリの伝記」のアニメ映画などの音楽も担当し、芸大在学中にはビバルディ作曲賞などを受賞した才人だが、彼もすでに57歳。

  それはそうと陸前高田“斎苑”での“再縁”コンサートはNHKのTV、ラジオのニュースで全国に流れたらしく、見た!聞いた!と、口々に聞く。(開運橋のジョニー店主)

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