盛岡タイムス Web News 2011年 6月 14日 (火)

       

■ 岩手大学が水産研究 三陸沿岸に教育拠点を開設へ

 岩手大学(藤井克己学長)は東日本大震災津波で甚大な被害を受けた水産業などを支援するため、三陸沿岸に研究教育拠点を設置し、海洋・水産分野の研究や人材育成に取り組む方針を明らかにした。金型・鋳造技術など内陸部にある工学部附属のサテライト技術研究センターの設置運営ノウハウを活用。これまで未着手だった海洋・水産分野にも踏み込み、地元大学として三陸復興を後押ししたいとしている。沿岸市町村や県外の海洋水産系大学と連携を図りながら、中長期的視野に立った支援を目指す。

  方針は13日、藤井学長が記者会見の中で明らかにした。同大は▽生活復興▽産業復興▽地域防災拠点形成-の3分野で三陸沿岸の復興と防災を支援するプロジェクトを推進。三陸への海洋産業復興研究教育拠点の形成は、その一つに位置づけている。漁業や養殖、加工、環境などを研究対象とし、漁業の復興や三陸の産物を利用した製品づくり、マーケティング、それらを融合させた「6次産業化」などを支援したい考えだ。

  岩手大学はこれまで海洋・水産分野の研究に積極的に取り組んだことはなく専門の研究者もいない。このため、同じ国立大学の東京海洋大学などと連携、海洋・水産系の研究者を客員教授として招くことも検討している。将来的には、大学院レベルの教育を行える環境を整え、沿岸の産業復興をリードする人材の育成を目指したいという。文科省も震災後の三陸の復興支援に、地元国立大学が積極的に関わることを求めており、それに応える形で体制を整えていく。

  北上市の「金型」、奥州市の「鋳造」、花巻市の「複合デバイス」の工学部附属技術研究センターは地元自治体の応援を得て施設を整備。そこへ同大から教員を派遣して新技術の開発や人材育成に当たっている。今回は被災した地元自治体から財政的支援を得るのは難しいため、国に現状を訴え、拠点整備や事業に必要な予算を獲得していくことになる。

  秋ごろまでに、釜石市教育センター5階にある同大の既存教育スペースに、地域復興センターの窓口を設置。研究教育を進める上での調整機能を持たせる。当面は、壊滅的な被害を受け、運営が困難になっている北里大学の海洋バイオテクノロジー釜石研究所(同市平田)が担っていた機能の復旧などに取り組みたいとしている。

  本県沿岸部を拠点に研究展開していた北里大学海洋生命科学部は、大船渡市三陸町のキャンパスを2015年度まで5年間、使用中止にすると発表している。その研究活動の空白を埋め、三陸を舞台にした産学官連携に力を発揮することが期待される。

  このほかプロジェクトでは、合金開発など三陸のものづくりの拠点機能を担ってきた釜石・大槌地域産業育成センターの復旧支援や塩害農地の回復、災害に強いまちづくりへの協力などを掲げている。

  藤井学長は「まさに地元大学の力が試されるとき。大学の積極的な関わりによって地元産業の復興の道筋が示され、雇用が生まれれば、若い人たちが地元にとどまるきっかけにもなる」と話している。

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