盛岡タイムス Web News 2011年 6月 15日 (水)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉124 及川彩子 「イタリアの薬局」

     
   
     
  イタリアの薬局は「ファルマチア」。緑十字の看板が目印です。営業時間は、午前が9時から12時半、昼休みを挟み、午後は4時から7時まで。日曜は閉店。緊急時に備え、当番制で開店しています。

  薬は、医師の処方箋なしでは買えませんが、自由に買える咳止めや解熱剤などは、ほとんどがシロップ薬。摂取量は体重別に決められているのがイタリア式です。

  高齢社会へ向かうイタリアでは、保険制度が見直され、年間に購入した薬代が、年度末の申請で返金される制度も設けられました。医療環境は、ホームドクター制。小児科を含む数人のホームドクターがいて、市民は担当医を選ぶことができます。

  緊急時には自ら、郊外の大病院に駆け込みますが、それ以外は、ホームドクターを訪ね、指示を受けます。診察は無料。幼児や高年齢者には往診をしてくれます。長年のイタリア暮らしでも、やはり健康管理が第一。ホームドクターを頼りながらも、親しい薬剤師ステファノさんは、わが家の強い味方です。

  ステファノさんの薬局には、カモミラ(小雛菊)入りの目薬や岩塩湿布など、日本では見たこともないさまざまな薬があります。そして、「咳止めには、これが一番」と勧められたのが、カタツムリのエキス入りシロップ〔写真〕。

  ここアジアゴ高原でも、春から初夏にかけ、花粉症に悩まされる人が少なくありません。マスクをする習慣のないイタリアでは、カタツムリのシロップ、カモミラ目薬が欠かせないのです。

  ヨーロッパ最初の医学部はボローニャ大学。次いで、パドヴァ大学に薬学研究のため、世界の薬草を集めた薬草園が設けられました。これが、世界最古の植物園として、世界遺産になっています。

  伝統のイタリア薬学を担うステファノさんを頼りに「郷に入っては郷に従え」のイタリア暮らしです。


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