盛岡タイムス Web News 2011年 6月 15日 (水)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉283 八木淳一郎 かんむり座

     
   
     
  2週間に一度の割合で星空めぐりをしていると、月日のたつ速さの何と早いことかと驚かされます。

  6月半ば、夜空はもう夏を迎えています。ただ、春の星座うしかい座の主星アルクトウルスは、ほぼ天頂付近を通っていくことから、夏が過ぎて秋口までの結構長い間、目にすることができます。

  春は天の川が地平近くに横たわり、宇宙の窓ともいうべき星空に、はるか遠い銀河や銀河団を望むことのできる季節でした。夏の到来とともに、再び天の川が高く上ってくるようになります。

  そして今度は、天の川の中のあちこちにある、散光星雲や惑星状星雲と呼ばれるものや、天の川の周りに散らばる球状星団などの天体が数多く登場してきます。

  春と夏の季節の橋渡しともいえる星座の一つに、かんむり座があります。春のうしかい座とヘルクレス座の間に、クルッと小さな半円を描くように星が並んでいます。

  ついでながら、いて座の少し南東側に、みなみのかんむり座という星座があって、位置的にもまさに夏の星座ですが、南側の視界がよほど開けた場所でないと見つけるのは難しいでしょう。

  そうした場所に行ってみますと、二つのかんむりを見比べる楽しみがあります。みなみのかんむり座も半円形に星が並んでいて、かわいらしさは果たして、見る人の好みにおまかせ、というところでしょう。

  さて、かんむり座の冠は、酒の神バッカスがクレタ島の王女アリアドネに贈ったもの。ですが、決して豪華な貴金属のものではなく、ブドウのつるを編んで作った物です。月桂冠のように。どうですか?世の女性の方々。

  まあ、うれしいかどうかは贈り主次第なんでしょうね。安っぽい物だといって、どうか“おかんむり”にならないでくださいまし。ただ、星座絵では宝石のついた金属の王冠として描かれておりまする。

  一番明るい星は2等星で、ゲンマの名があります。メンマではありません、念のため。ゲンマは宝石という意味です。

  この星には他に、冠の真珠という意味のマルガリータ・コロネの名があります。かんむり座自体、国や地方によっていろいろな名があって、アラビアでは欠けた皿の意味のアルフェッカ、オーストラリアのアポリジニではブーメラン、わが国では雷の太鼓星など、それぞれなるほどと思わせるものがあります。

  いずれにしても、目につきやすい上に親しみを感じさせる星座だからなのでしょう。
(盛岡天文同好会会員)


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします