盛岡タイムス Web News 2011年 6月 16日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉359 岩橋淳 せなかにのって

     
   
     
  作者・谷内氏は、かつて週刊誌の表紙を毎週飾っていた童画家、故谷内六郎氏のおいに当たる方。画風こそ違いますが、叙情的な味わいには通底するものを感じさせます。

  本作は、一人の男の子の夢の世界を描いたもの。

  表紙、一見して、これは○ジラですが、まぁ一般的な「怪獣」ということで進めます。これが、ある朝、男の子を迎えにくるところから物語は始まります。

  おはよう、と声をかけられたのは、唐突の出会いなのか、待ち合わせなのか。早起きだね、と、その背中に乗るように促されて、向かうのは何事かの集合場所。途中、道連れになるのは古典的デザインのブリキのロボット、ほころびたぬいぐるみ…、見渡せば、もともとは男の子のおもちゃ箱の住人たち。どこにいたものか、三々五々集まって、元の箱へと帰って行くのです。「もうすぐ あさがくる」

  朝早くから、パジャマのまま、男の子はいつしか夜通しでこの行進に加わっていたようです。夢の中の不思議な時の流れが、男の子に疲労感すら覚えさせず、ひとつの旅を踏破させたものと思われます。絵本の、そして夢の世界ならではの、そしてこどもならではの特権。

  夢の中をたゆたう、幼児期特有の心象風景を描いた、穏やかな作品です。

 【今週の絵本】『せなかに のって』谷内こうた/作、あすなろ書房/刊、1260円、(2005年)。



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