盛岡タイムス Web News 2011年 6月 22日 (水)

       

■ 〈不屈の意志〉県自転車商業組合・安部一夫理事長に聞く 初体験の連続

     
  岩手県自転車・二輪車商業協同組合の安部一夫理事長  
 
岩手県自転車・二輪車商業協同組合の安部一夫理事長
 
  岩手県自転車・二輪車商業協同組合の安部一夫理事長(62)は、盛岡市青山のサイクルショプあべの代表者。創業63年の老舗で地域密着で経営してきた。今回の震災では、沿岸部で被災した同業者支援と被災地の高校生らの通学の支援などに奔走した。被災から100日が経過するが支援の手は緩めない。震災時から今までの経過などを聞いた。(大森不二夫)

  -地震の直後は。

  安部 地震のとき、店の2階倉庫からがたがたと物が落ちた。棚も崩れたが、それほどの被害にはならなかった。商品の自転車が大丈夫だったのは助かった。2階はまだ、さして片付けていない。1番心配したのは電気だった。震災からほぼ4日間、一切の電気が使えなかった。もうどうにもならない状態だった。週明けの14日から自転車を買いにくる客が店の前に並んだ。修理の客もたくさん並んだ。店をぐるりと回るほど。この光景にもびっくりした。その日から1週間は大忙しとなった。商品は震災前にストックしてあった。少し注文し過ぎたかなと思っていたほど在庫があった。だがその週の金曜日には全て完売した。飛ぶように売れた。完売したあとでも買いに来る人は絶えなかった。なんでもいいから売ってくれという人もいた。販売はまったく手はかからない。そのまま売れる。大変だったのは修理の仕事。いつも修理の仕事はしているが、手間も時間もかかる。今回は、10年以上も使用していないさび付いた自転車を持ってきた人もいた。その自転車は半日がかりで直した。

  この時期は市内の自転車店はみな同じだった。どこも夜遅くまで仕事をしていた。数日は満足に飯を食わず頑張った。こんなことは、私も含め初めてのことだった。

  電気と電話が使えるようになってからメーカーには注文した。さまざまな物不足で注文しても駄目だった。部品は中国や東南アジアで製造している。計画生産しているので、すぐは無理だった。注文したものが着いたのは5月中旬になってからだった。

  -被災地支援を継続している。

  安部 沿岸部には50組合員がおり、そのうち34組合員が被災した。陸前高田市では3店が全壊し5人が亡くなるなど大変な事態になった。浸水した店の中には、その後頑張って営業を再開しているところもあるが。仮設店舗や避難所の一角で営業している組合員もいる。東京の上部団体から工具類が送られてきて、沿岸部の組合員に届けた。6月15日までに全国の組合から465万円の支援金が集まった。支援の輪が全国の組合員に広がっているのを感じた。頑張る2代目もいる。組合で引き続き支援をする。

  メーカーも支援してくれた。230台の自転車をもらった。5月9日から1週間かけて沿岸の各高校に届けた。それまで歩いていた生徒ばかり。大変喜ばれた。大阪の組合からは5月24日に宮守の体育館に届いた。レンタル用だった。私も修理にいったが、それほどひどいものはなかった。7月4日にも被災地に100台届ける予定でいる。

  -地域経済の活性化策はあるか。

  安部 大震災から自転車が売れた。ガソリンも要らない。原発も要らない。究極なエコである。健康にも良い。自転車の良さが見直された。市内で自転車が増えることで、エコな街盛岡のイメージが広がれば、省エネ盛岡として注目される。新たな活性化になるのでは。

  沿岸部では、とにかく仕事。仕事がなければ収入がない。経済が回らない。早く経済を活動させ、家を建てるようになるなどの支援を。早くしないと。


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