盛岡タイムス Web News 2011年 6月 28日 (火)

       

■ 〈イタリアンチロルの昼下がり〉125 及川彩子 人気の合気道クラブ

     
   
     
  イタリアのスポーツ教室と言えばサッカー、バレーボール、水泳、乗馬などですが、近年、日本の「合気道」が人気を呼んでいます。

  数年前、ここアジアゴに、ヴェネト州でも合気道で名高いアルバさんを招き、クラブが発足したのです。生徒は、小学生から大人まで、30人余りと聞きました。

  わが家のお隣さんの長男ドメニコ君9歳も、その魅力に取り付かれた一人。先日、初級認定会があると聞き、応援に駆けつけました。

  会場は、アジアゴ高校の体育館。畳代わりに敷かれたマットの上で、柔道着姿の若者たちが正座をし、演技前の黙想。ピリピリ緊張感が漂っていました。

  「お願いします」と日本語のあいさつで演技開始。アルバさんを中心に、袴姿のイタリア人講師たちが、「呼吸・表裏・投げ・立ち技・こて返し・上手取り・首絞め…」と技を指示すると、みんな軽やかに転がり、回り、床に這い、立ち上がります〔写真〕。

  掛け声も「エイッ」と、これも日本語。乱取りを終えると、向き合って礼儀正しくお辞儀し合う若者たち。イタリア人には苦手の正座に顔をしかめながらも、必死で取り組む姿が、ほほ笑ましく感じられました。

  クラブを主催し指導するアルバさん40歳は、合気道歴20年で、1歳になる愛娘に「ゆき」ちゃんと日本名を付けるほどの日本びいき。パドヴァ大学の学生時代、合気道の日本人師匠に出会って以来、虜になったそうです。

  その魅力を聞くと「勝ち負けではなく、相手・自然との調和。日本の文化は、その精神性でしょう」とずばり。スポーツや芸術文化に国境はありません。

  「型を覚えるのが難しいんだよ」と汗びっしょりのドメニコ君たちを励ましながら「相手と共に技を追求するこのスポーツを、もっとイタリアの子どもたちに伝えたい」というアルバさん。私たち以上に、日本の心を知っているようでした。

本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします