盛岡タイムス Web News 2011年 6月 29日 (水)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉284 八木淳一郎 てんびん

     
   
     
  盛岡も梅雨入りし、これからしばらくはうっとうしい、どんよりとした曇り空の日々が続きます。しかし、そうした中にも意外なほどの晴れ間がのぞくことがあって、そんなときはほかの時期に見られる以上にすばらしい星空が姿を表すものです。

  さて、春から夏へと季節の橋渡しをするような星座の一つとして、かんむり座とともにてんびん座が挙げられるでしょう。星占いでもおなじみの星座ですが、案外どれがそのてんびん座なのか、見つけられない方が多いかもしれません。せめて、てんびん座生まれの人は覚えてみてはいかがでしょう。

  夏の代表的な星座の一つにさそり座がありますが、この星座さえ分かれば、この右(西)隣にあるのがてんびん座という訳です。ひらがなの「く」の字を反対向きにした形と思ってください。一番明るい3等星が2つで、あとは4等星以下の暗い星ばかりです。逆くの字の真ん中の星は双眼鏡を向けると、3等星と5等星から成る二重星であることが分かります。

  実はてんびん座はかつて、さそり座の一部としてはさみや爪に見立てられました。ですから、逆くの字に当たる3つの星には、北の爪、南の爪、カニの爪という意味のアラビア名が付けられています。そして紀元前1世紀になって、てんびん座として独立したのでした。

  ところで、夜と昼の長さが同じになるのは春分と秋分ですが、この時代、秋分の太陽がてんびん座の位置にありました。そこでバランスを司る意味でこの星座にてんびん座の名前が与えられたと考えられています。

  ただし、今の時代は秋分点はおとめ座に移ってしまっています。神話の世界では、てんびんは正義の女神アストライアが裁判で善悪の判断をするのに用いたとされます。悪い人が乗った側が下がってしまうのです。体重だけでなく、行いに自信のない人もてんびんには乗らない方がいいでしょう。

  さて、てんびん座の東隣にあるのがさそり座。さそりと聞けば、「さそり座の女」という歌謡曲を思い出す昔のお兄さん、お姉さん方も多いことでしょう。

  そして、てんびんと聞いて「両天秤」を真っ先に思い浮かべるご仁も少なくないのでは。真ん中に挟まれたのがおとめ座。このお嬢様の身の上が気掛かりです。考え過ぎでしょうか。てんびん座の上(北側)にはへび座が、真下(南側)にはおおかみ座という、これまた恐い名前の星座が控えています。いよいよ、○○サスペンス劇場の見過ぎでしょうか。蒸し暑い季節にちょうどいいのでは?
(盛岡天文同好会会員)


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