盛岡タイムス Web News 2011年 9月 2日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉63 草野悟 銀ザケ釣りを楽しむ

     
   
     
  わたくし、震災以来好きな釣りを封印し耐えに耐えて過ごしておりました。ところが新聞に宮古の釣り船「平進丸」が難を逃れ、親子で釣り船を再開したとの朗報を読み、早速被災した店「佐々木釣り具」を訪ねた次第であります。釣友の三陸鉄道の望月社長さんは、日夜復旧に明け暮れ休みなく働いておりましたので、「そろそろ解禁しますか」と投げかけますと「もういいですよね、いいですよね」と小躍り。二つ返事で7月末に決行することにいたしました。望月社長さん、うれしくて3日前から眠れない日々が続いたそうです。

  7月31日、午前5時出港。カモメが「いってらっしゃい」と羽を振ってくれます。帯状に広がる「やませ」の赤ちゃんが美しくたなびいております。

  いよいよ漁場へ到着です。この瞬間がたまりません。「落ち着いて」と何度も言い聞かせ、はやる気持ちを冷静に見えるように構え、船頭の合図とともに海中に仕掛けを降ろします。
     
   
     

  ギュ、ガガーガク、と強烈な引き込み。糸が左右に回転します。鰈(かれい)釣りの繊細な仕掛けに70aほどの銀鮭がフックしました。周りも竿(さお)を満月のようにしならせております。あちこちでタモ入れです。

  震災で本場宮城県の銀鮭養殖棚がすべて破壊され、逃げ出した銀鮭が冷水を好むもので北上してきたというのが真相です。何とも複雑な心境ですが、釣りの醍醐味(だいごみ)に我を忘れてしまいます。

  宮城県の皆様、すみません。その代わりおいしく頂きますと、まな板の鮭を見事にさばきました。

  半身に少々胡椒(こしょう)と粗塩を振りかけ、玉ねぎをスライスします。フライパンにバターを溶かし、その上に大きめに切った銀鮭、そしてニンニクみじん切り。スライス玉ねぎをたっぷりかぶせ、高級な日本酒で溶いたみそをふりかけて蓋(ふた)をします。中火でとことこ。玉ねぎの香りが充満し、我慢の限界を越えたころが食べごろです。冷えたビールと銀鮭バター焼き、たまらんですなあ。
(岩手県中核観光コーディネーター)

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