盛岡タイムス Web News 2011年 9月 4日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〉斉藤駿一郎 畑のメロン

   畑のメロン

                        斉藤駿一郎

 
炎天
入道雲が湧く日
じゃが芋堀りだ
 
妻の牛蒡のような腕と
僕の萎びたしわしわの手で
土を掘る
大小のじゃが芋がごろごろと
出てくる出てくる
 
砂漠の老いはすぐ枯れかかるが
ささやかだが
この歓喜
僕と妻の心に入道雲のように希望が湧く
(妻はそばの畑から熟れたメロンを〓いでくる笑顔…)
 
じゃが芋掘りのかまはメロン割りの刃に早変わり
土のついた切り口を手拭いでふいて
ワン曲のメロンの内側にガブリとかぶりつく二人
したたる汁を顔いっぱいにつけて
種を鼻の頭につけても
もうどうでもよくなって
 
ちゅるる ちゅるる
るちゃ るちゃ と 汁を吸っては食べる
乾杯
 
土の味
太陽の香滴る水分が
老いにシュワーと浸みこむ
畑をわたる一陣の涼風
 
祈りたくなるような至福のひととき


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