盛岡タイムス Web News 2011年 9月 5日 (月)

       

■ 〈芸能ばんざい〉30 飯坂真紀 簗川高舘剣舞

     
   
     
  一昨年、簗川高舘剣舞の皆さんのご厚意に甘えてお盆の供養にお供をさせていただいた。青空の広がる暑くも夏らしい一日だった。

  国道106号を外れて簗川に入ると、家々が田畑の間に散在する農村風景がのどかに広がる。かつて、この道を馬方たちが宮古沿岸から魚などを運んだのだ。加えていくつかの芸能もこの道を通じて運ばれて行った。そんな歴史を背負った剣舞が、夏の野花を前景に笛太鼓を囃(はや)しながら歩いてくる。奇跡のような風物詩がまだここにはある。

  旧道沿いの山洞神社にある剣舞供養塔に詣でて一通りを踊ってから、地元の墓地へ向かった。急斜面に設けられた古い墓所で家族が見守る中、花や供物に彩られた墓の前に並んで回向をあげて踊った。こんな風にしのんでもらって、仏はさぞ慰められることだろう。

  こうした儀礼は盛岡周辺ではもうほとんど失われてしまったと勝手に思い込んでいた。自分の無知を恥じながら、思いがけない贈り物のようにうれしいのだった。

  「今年は飛鳥からも頼まれてら」とのことで、東隣の飛鳥地区の墓地へも行った。宮古街道を見下ろす小山の上に開かれた小高い場所で、とても見晴らしが良かった。向かいにはなだらかな北上山地が連なり、建設中の簗川ダム道路も下に見下ろせた。

  「簗川ダムはどうなるんでしょうね」とそっと尋ねると、「どうなるんでしょうねぇ」と弱々しい微笑が返ってきた。

  それが一昨年のこと。先頃、簗川ダムの計画は続行されると発表され、がっかりしている私である。

  先月28日に肴町アーケードで催された「もりおか郷土芸能フェスティバル」に簗川高舘剣舞が出演した。被災地ではなくても震災の影響がなにかとあり、身の回りでも弔事が多いと感じている。今年のお盆はどうだったのかと思った。


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