盛岡タイムス Web News 2011年 9月 5日 (月)

       

■ 〈幸遊記〉35 照井顕 美しい10代禁じられた遊び

 あれは1963年(昭和38年)の高校1年の時だった。平泉中学校から高田高校の定時制に進んで、最初に友達になった同級生の紺野拓実君(住田町出身)に見せられた1枚の歌詞カード、それは僕が音楽に興味を持つきっかけとなった。

  「照井君は詩が好きなようだから、これ読んで見て」と机の上に置いていったシングル盤レコードのジャケット。そこに書かれていた詩には、僕らと同じ夜間高校に通う生徒たちのことが書かれていてカンゲキ!した。作詞は宮川哲夫。作曲は吉田正。「風は今夜も冷たいけれど、星はやさしくささやきかける、昼は楽しく働く仲間、みんな名もなく貧しいけれど、学ぶ喜び知っている」。

  歌っていたのは、“美しい十代”で前年11月にデビューしたばっかりの「三田明」。彼も僕らと同じ1947年(昭和22年)生まれで、本名を辻川潮(つじかわ・うしお)。愛称はウッちゃん、と言った。僕たち定時制のことを歌っているんだから、応援しなくちゃと、三田明後援会に、そのいきさつを手紙に書いて送ったら、その会報に僕の出した手紙が載った。すると、毎日毎日、何十通もの手紙が全国から届いてビックリ!まるで僕もスターになったような気分を味わったのを覚えている。

  三田明のレコードを買いに行った時、彼のは売り切れだったので、当時リバイバルヒットして盛んにラジオから流れていた1953年のフランス映画の主題曲「禁じられた遊び=愛のロマンス」を買ったのが最初の1枚。スペインのギタリスト・R・デ・ヴィゼー
(1686〜1720)の作曲。その組曲からセゴビアが編曲し、それをさらにナルシソ・イエペスが編曲・演奏したものが映画で使われ大ヒットした。

  だが僕が最初に手にしたレコードは、その原メロを元に自ら作編曲したヴィセンテゴメスのギター。それはスパニッシュ的アドリブに血が騒ぎ出す心地よさを感じるものでした。また、岩手出身のギタリスト・七戸国夫さんの演奏では、彼独自の前奏で始まる、まったく違ったクラシカルなアレンジをほどこした世界に通用する素晴らしい「愛のロマンス」です。これは今「月の光」のタイトルでCD化され僕の愛聴盤となっている。
(開運橋のジョニー店主)


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