盛岡タイムス Web News 2011年 9月 9日 (金)

       

■ 〈潮風宅配便〉64 草野悟 「私たち忘れません」

     
   
     
  大槌に行った帰り道は浪板海岸を通ります。日々がれきやごみが撤去されたとはいえ、惨状はまだまだ痛ましいほどです。完全に破壊されたコンビニエンスストアがプレハブ店舗で再開されていました。近所に買い物をするところがなく、住民の方や作業に従事する方々にはうれしい復旧です。

  そこから下り、吉里吉里小学校入口とある看板の斜め前に、大きな看板が目に入りました。「ご支援ありがとう 私たち忘れません」。短いフレーズですが心からの重みのあるメッセージです。全身全霊で取り組んでくれた自衛隊さんにでしょうか。全国各地から駆けつけてくれた警察の方々にでしょうか。遠方から自費で来てくれたボランティアの方々にでしょうか。

  震災後、なぜか言葉ブームになり金子みすゞの詩集は飛ぶように売れ、大人向けの月刊誌も言葉特集を組んでいました。「がんばろう」や「絆」や「地域の力」などどれも人々の心に訴えるものです。アメリカの「ともだち作戦」も記憶に残っています。

  浪板の住民からのメッセージは「私たち忘れません」と簡潔に感謝の気持ちを最大限に表しています。支援してくれた人、していただいた人、それぞれに気持ちが一つになる温かなメッセージに運転中のフロントガラスが曇りました。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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