盛岡タイムス Web News 2011年 9月 12日 (月)

       

■ 達増氏圧勝で再選 知事選、高橋氏に27万票差

     
  他候補を寄せ付けず2選目を果たした達増拓也氏  
 
他候補を寄せ付けず2選目を果たした達増拓也氏
 
  大震災で延期されていた知事選、県議選は11日執行され、即日開票の結果、無所属4人が争った知事選では現職達増拓也氏(47)=民主推薦=が43万8975票を獲得し、他候補を寄せ付けず圧勝。再選を果たし、大震災からの復旧・復興と岩手の再生という難しいかじ取り役を引き続き担う。次点の無所属新人高橋博之氏(37)は大震災を受けて告示1カ月前に急きょ県議選から照準を変えたが、全県に浸透を図るには時間が少なすぎた。県議選(定数48)には72人が立候補し2選挙区で3人が無投票当選となったため、残る14選挙区で69人が45議席を争った。民主が推薦を含め23人と前回を1人上回ったが、改選前の単独過半数を割った。自民は前回から1減の12人、地域政党いわては伸びず4人に減らした。社民も3人と現状維持、共産は2人と初の複数議席を獲得した。公明は現有1議席を守り、純粋無所属は3人が入った。知事選の投票率は59・92%で前回を8・61ポイントも下回った。

  東日本大震災津波による甚大な被害で4月の統一地方選から延期された知事選と県議選。岩手が置かれた困難、重要な局面での選挙は、大震災からの復旧・復興を進めるための県政の体制をつくるものとなった。復旧・復興を最大の争点に戦われた。

  知事選では達増氏が初当選の4年前に築いた全県域の後援会組織、推薦する民主の衆院で全県制覇した本県における強さを基盤に選挙戦を優勢に進めた。達増氏自身も出馬表明は2010年12月となったが、初当選から再選出馬を前提にしており、戦う体制はすぐに整えられた。

  統一選が延期され、知事職として震災対応へ専念したが、被災地の状況から有力な対抗馬が表れにくい空気も有利となった。選挙準備の中断も問題なく、告示間近の選対会議で再始動の号令とともに組織的な運動が一気に動いた。

  達増氏は候補者自身としてのマニフェストを作らず、前任期中に策定を急いだ県の震災復興計画、さらに任期中に作った県の総合計画であるいわて県民計画を事実上のマニフェストにした。策定者の手で着実な施策実行と復旧・復興の推進をという流れを有権者に浸透させていった。

  期間中、県内を約4巡。1巡目は沿岸全てを早く回るためやや駆け足で回り、2巡目で丁寧に回ったあとは、県議選の民主候補との連動を強化。民主が新人をはじめ接戦や劣勢と分析する選挙区を重視した遊説日程を編成。県議候補と合同の遊説では、安定した2期目の県政運営には、誰それ候補を県議会に送り出してほしいと訴え、相乗効果を図った。

  高橋氏は統一地方選では県議花巻選挙区で3選を目指していた。知事選に駆り立てたのは発災後、ボランティアで主に大槌町へ通い続けた被災地の現状と被災者が直訴する悲痛な叫びだった。

  一方、県議会では自民クラブ、地域政党いわて、社民党の県議が水面下で超党派候補の擁立に動いていた。統一地方選では対抗馬擁立をいったん断念したが、達増氏の特定政党に偏った政治姿勢への批判は強く、震災対応に対する被災者、被災地域からの県政、知事への不満を受け、擁立作業を再始動。超党派と民間人を入れた政治団体いわて復興県民の会を立ち上げ、高橋氏を担いだ。

  高橋氏はリーダーシップ、発信力、一党一派に偏しない県民目線を目指す知事像を掲げ、リーダー論で現職との違いを打ち出そうとした。若者による復興の必要性を唱え、情熱とエネルギーをキーワードとし、県の復興計画などを補完する独自政策を示した。

  絶対的な時間不足の中、常識では勝てないと本人が言う選挙。全県への知名度がない中の短期決戦に、高橋氏は告示前の盛岡〜一関間100`、告示後の洋野町〜陸前高田市250`を街頭演説しながら徒歩で縦断する手法を取った。高橋氏が陣営に押し通した、広い県土をいかに効率よくという常識を取り払った作戦は、注目を集めたものの、うねりを引き起こすまでの風は起こせなかった。

  いわて労連議長の新人鈴木露通氏(60)‖共産推薦‖は革新系の政治団体である明るい民主県政をつくる会の幹事長。同会擁立候補者として2月に出馬表明した。以来、地域の会の組織化や共産の地域組織を通じて全県への浸透を図った。

  達増県政は冷たい県政と批判。震災前のマニフェストに追加で「震災マニフェスト」を提示して臨んだ。県の復興計画の問題点を挙げ、最優先に住民合意で進める復旧・復興、被災した県立3病院を再建・拡充、原発撤退への発信と放射能被害への安全対策強化、県政の中心に福祉の心をと独自性を打ち出し、県政の転換を訴えた。無党派層などへの浸透は広がらなかった。

  会社社長の新人芦名鉄雄氏(66)は県行政への批判と民間感覚を取り入れた県政の実現などを訴えた。全県選挙区を実質一人で戦い、選挙ポスターの未掲示も多いなど運動量が絶対的に不足していた。

  当日の有権者は108万4888人。


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