盛岡タイムス Web News 2011年 9月 22日 (木)

       

■ 〈お父さん絵本です〉372 岩橋淳 ウエズレーの恋

     
   
     

 夏が、逝きました。夏に冒険をしなくなって、もうどれだけ経つのやら……、とお嘆きの貴兄、ちょっと待った。絵本があるじゃぁありませんか! 今週の一冊は、ある少年の、ひと夏の物語です。表紙の鮮やかな色彩と、なにやら風変わりないでたちの少年。なんだかワクワクしませんか?

  とある街で暮らすウエズレー少年は、両親と何不自由なく暮らす、ごく普通の……、いや、周囲から浮いているのではないかとの心配を、両親がしているのです。これはウエズレーの内向的性格に発するところの……とばかりは(本作を見るに)言えなさそうでもあるのですが。ともあれ、周囲とかかわらなくて済む夏休みが、やってきました。普通ならメンドクサイ自由研究のテーマ選びが、ふとしたヒラメキですばらしいものになったのは、ウエズレー、日頃の探求の積み重ねのたまもの。

  「じぶんだけの作物をそだてて、じぶんだけの文明をつくるんだ!」

  天啓は、一陣の風。どこからともなく飛んできた種が、すべての始まりになりました。

  種はやがて芽吹き、育ち、巨大な花を咲かせます。そして。

  常識と非常識、既成の概念と自由な発想の対比。旧弊に縛られない精神が、新しい地平を拓いてゆくさまがパノラミックに展開されていく、壮大な作品です。

  【今週の絵本】『ウエズレーの国』P・フライシュマン/作、K・ホークス/絵、千葉茂樹/訳、あすなろ書房/刊、1470円(1999年)。


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