盛岡タイムス Web News 2011年 9月 25日 (日)

       

■ 〈写真集「南部馬の里」〉22 遠藤広隆 形相

     
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  一瞬の動きは、人の目には止まらない。カメラだから写し取ることができる世界。

  背中のアブを気にして、しきりに首をよじっている馬がいた。手があればたたき落とせるものを、馬たちの血は吸われ放題だ。

  首の動きを予測してカメラの位置を決めた。振り返ったその瞬間、シャッターを切った。細部まで目に見えているわけではない。動きを写し止めることが目的だった。

  現像が仕上がってみると、そこに写っていたのは浮き上がった血管、よじれたくちびる、盛り上がったたてがみ、左右が反対向きになった耳、飛び出した眼球。

  それは普通では見ることのない馬の形相だった。

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