盛岡タイムス Web News 2011年 9月 25日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〉森三紗 秋明菊

   秋明菊
                      森 三紗 

 
月夜に 月夜色に咲く
乱れた歩調の間隔をおいて咲いている
 
見上げると雲が切れ
十三夜 また雲に隠れて 咲いている
 
不治の病で幼子を置いて 育てる前にあなたはあの世へいってしまった
墓参りをして基の前でわたしは泣き崩れた
 
学生時代 隣のあなたは端正な字のノートを貸してくれた
リズムのある英語のつづり字を書き わたしたちはよく理想を語りあった
 
あなたは生徒思いの教師だった あいかわらず端正な文字を黒板に書き
誤りや挫折を正直に語れる人だった
 
盛岡駅で「またね」と言って手をふった思い出が最後だった
秋明菊をたむけよう あなたがまた還る道があるなら
 
秋明菊が咲く庭 以前は縄文の遺跡があった 不作や飢饉やいくさなど
シャベルに過去の記憶が明かされ また埋められ団地化した
 
かたわらに咲いて 愁明菊は時代を見続けている
あなたはあまりにも早く逝ってしまった
 
ただ秋に切に愁いを秘めて咲いている


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