盛岡タイムス Web News 2011年 12月 13日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉137 及川彩子 冬の味覚・焼き栗

     
   
     
  カトリックの国では、クリスマスの40日前から、どの町にもクリスマス用品の市場が立ち、活気付きます。最近では、この市場を巡る観光ツアーも人気と聞きました。

  市場巡りにひときわ目立つのが焼き栗の屋台。香ばしいにおいに私たちも、つい足を止めてしまいます〔写真〕。ほとんどが炭焼きで、筒状の紙包み一袋500円ほど。指先を真っ黒にしながら皮を剥(む)き、熱々を頬張るのです。

  焼き栗は、イタリアをはじめヨーロッパ各地にありますが、イタリア産の栗は、甘みと香り高いことから、日本でも人気商品とか。

  イタリアの栗は2種類。日本に輸出されているのが「カスターニャ」と呼ばれ、主に焼き栗用。1粒ずつ切れ目を入れ、白ワインを振りかけてオーブンへ。また、焼き栗専用の穴あきフライパンで転がし焼きすると、おやつの出来上がり。

  皮ごと、こんがり焼いた栗のローストは、冬のワインの友です。粉にしてポレンタ(とうもろこしの粉のお粥)や蜂蜜漬け、乾燥栗などにも利用されます。

  もう1種類は、イガに1粒しか実らない大粒の「マローネ」で、甘露煮(マロングラッセ)用です。マロングラッセは、フランス菓子の代表格ですが、発祥は北イタリアのトリノ。昔フランス語が公用語だった時代、トリノの王家の料理人が考案したと言われます。

  そのマロングラッセで作ったケーキが、モンテ・ビアンコ(白い山)。アルプスの名峰モンブランをイメージした栗クリームの山盛り仕立てで、モンブランケーキの本元です。

  栗はギリシャ時代の主食。そのカスターニャの木から作られる楽器がカスタネット。枝はまきに、花からは蜂蜜、渋皮のタンニンは皮なめしにと、古代から生活に密着してきた栗は、外敵から身を守るシンボル。そして、今も人々の暮らしの活力になっているのです。

  白い息を吐きながら冬の市場巡り…焼き栗屋台に立ち止まらずにいられません。

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