盛岡タイムス Web News 2011年 12月 14日 (水)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉296 八木淳一郎 期待の年 

     
   皆既月食の星空。光が遮られて赤い満月の夜空は、無数の星々が輝きを取り戻した。中央上の大きな光点が月。右横におうし座、真下にオリオン座とおおいぬ座。にぎやかな冬の星空だ(12月10日午後11時38分、宮古市茂市付近。焦点距離20_、絞り2.8、露出時間15秒、ISO1600)  
   皆既月食の星空。光が遮られて赤い満月の夜空は、無数の星々が輝きを取り戻した。中央上の大きな光点が月。右横におうし座、真下にオリオン座とおおいぬ座。にぎやかな冬の星空だ(12月10日午後11時38分、宮古市茂市付近。焦点距離20_、絞り2.8、露出時間15秒、ISO1600)  
  今年は、星の世界にこれといった現象がありませんでしたが、来年2012年は近年まれに見る天文現象の当たり年となります。

  西空の金星と天頂付近の木星がひときわ明るく輝いて、新しい年の門出に彩りを添えてくれます。3月未には、この二つの星がうんと近付いて人目をひくでしょう。3月の初めには金星のそばに水星の輝きも見ることができます。また、火星が小接近を迎え、望遠鏡での観察に大人も子どもも胸をときめかせることでしょう。

  4月は天界一の人気者、土星を見る好期に突入します。望遠鏡で見る輪のある神秘の姿に、誰もがため息をつくに違いありません。5月21日は東京をはじめとする関東甲信越や西日本太平洋側の広い地域で金環日食が見られます。盛岡でも90%ほど欠ける日食となります。6月には部分月食や金星の太陽面通過が起こり、全国で見ることができます。この現象が国内で次に見られるのは105年後!となります。8月のお盆の頃はペルセウス流星群が毎年のこととして見ることができますが、14日には金星が月に隠される金星食という現象があり、盛岡でも見ることができます。

  11月にはおなじみのしし座流星群を、月明かりの邪魔もなく好条件のもとに望むことができます。11月未には金星と土星の二つがくっつくくらいに並びますし、28日から29日にかけて半影月食が起こります。12月になると木星の観察の時期を迎えます。また、最大の小惑星ケレスや4番目に大きい小惑星ベスタが接近し、望遠鏡や双眼鏡を使えば日ごと移動していくのを観察することができます。14日にはふたご座流星群を、月明かりのないすばらしい条件のもとで見ることができるでしょう。

  今年は大震災という自然の猛威がふりかかり、その上、原発事故という、日頃から誰もが心の奥底に抱いていた心配が、ついに現実のものとなってしまいました。広島、長崎、第五福竜丸、そして福島…。私たち日本人は幾度となく核の恐怖にさらされてきました。日本人を苦しめる何か共通した原因が、足元にでも潜んでいるのでしょうか。

  一方、自然は人間に恵みをもたらしてくれますが、もともと、地球という一惑星は人間のためにある訳ではありません。台風、洪水、地震、津波、火山の噴火…。どれをとってもたくさんの生命を脅かすものばかりです。昔ならば、これらは、今で言う超常現象と捉えたのかもしれません。科学の発達で自然現象のメカニズムが解き明かされ、災難を克服する手立ても身に付けつつありますが、それでもなおこのたびのように想像をはるかに上回る被害がもたらされます。将来を担う子どもたちの科学する心を育みながら、今日あしたを築いていく大人たちも一緒に、自然のさまざまな現象を自分の目で観察していきたいものです。
(盛岡天文同好会会員)

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