盛岡タイムス Web News 2011年 12月 18日 (日)

       

■ 〈詩人のポスト〉斎藤駿一郎 「きょうね」

 きょうね
 
授業を終える
塾・お稽古で
この子は今日も暮れる
 
家の隅々にテレビが
がんがん響き
父は酒に呑まれて茶碗を叩き
母は自分の仕事で今日も忙しい
 
(子供の入りこむ隙間もない)
 
子供は百十番に電話
「もしもし 今日ね 友達が転んだの」
「それで」
「泣いたの」
「怪我は…」
「なかったよ」
「それで…」
「おしまい。バイバイ」
 
また百十番…
「あのね 今日ね 道に犬がいたの」
「それで…」
「とてもかわいかったの さようなら」
 
(今日も子供の一家団欒に疑似体験が続く)
 
「今日ね…」
「きょうね…」
「きょう…」
「きょ…」
「き…」

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