盛岡タイムス Web News 2011年 12月 29日 (木)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉297 八木淳一郎 行く年来る年

     
  陸前高田の消えた市街地の上に立ち上がる北斗七星(右上隅)  
  陸前高田の消えた市街地の上に立ち上がる北斗七星(右上隅)  
  宇宙カレンダー(宇宙ができてから今日までの150億年を1年に短縮したもの)によれば、クリスマスの頃に、生き物は海から陸へと上がってきて、やがて哺乳類が誕生します。

  12月27日から29日にかけては恐竜が栄えます。そして12月31日、大晦日。紅白歌合戦もたけなわの午後9時頃、人類の祖先が現れます。テレビ番組の行く年来る年で全国各地のお寺から除夜の鐘が鳴り響き、いよいよ新年を迎えようとしている午後11時59分51秒、人類はピラミッドを完成させるのでした。57秒になると、わが国では大和朝廷が登場します。59、2秒、イタリアのガリレオガリレイが人類史上初めて望遠鏡を星空に向け数々の発見をしたのでした。

  それがどうでしょう。人類は59、93秒になるやいなや、アポロ11号で月面に降り立ったのです。それから0、07秒後、東日本大震災が起こって、三陸の市町村は津波に襲われ、福島では原子力発電所が爆発し、関東から南東北の広い地域にわたって、放射能で汚染されました。

  新しい年、西暦2012年を迎えようとしている今この時の星空はどんな様子でしょう。天の川の光の帯が天頂を通って、南北に流れています。南の空から天頂にかけて、たくさんの1等星が輝いています。

  その明るい星々をつないでいくと、6角形のダイヤモンドの形になっているようです。名付けて「冬のダイヤモンド」。

  でも良く見るとその中心近くにもう1個の明るい星、オリオン座のペテルギュウスがあります。これをまとめて「冬の蚊取線香」と、全然ロマンチックじゃない名前を付けた不逞の輩(ふていのやから)がおりました。

  さて、ここから先は新しい年の宇宙カレンダーをめくることになるのですが、ほんのちょっとだけのぞいてみましょうか。元旦の0時0分20秒。盛岡からも南十字星が見えています。

  23秒にはこと座のベガ(七夕の織り姫星)が北極星になっています。さらにカレンダーをめくってみましょう。毎日3aずつ遠ざかっていた月でしたが、4月には今の200倍も離れてしまっていて肉眼では見えなくなっています。5月になると、230万光年の距離にあるお隣のアンドロメダ銀河が、それまで少しずつ近づいてきていたのですが、ついに私たちの銀河系に衝突してしまいます。同じ頃、2月頃から徐々に膨らんできていた太陽でしたが、ついに地球に耐えられないほどの強烈な熱を浴びせ始め、やがて−。

  はっとして我に返り、目を凝らすと、そこには冬のダイヤモンドを形作る大みそかの美しい星空が広がっています。オリオン、おおいぬ、こいぬ、ふたご、ぎょしゃ、おうし。西空にはペルセウスやアンドロメダ、カシオペアなど秋の星座たち。木星もひときわ明るく光っています。そして東の空では、早くもししやおおぐまたちが春の訪れを告げています。
(盛岡天文同好会会員)


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