盛岡タイムス Web News 2012年 2月 23日 (木)

       

■ 〈夜空に夢見る星めぐり〉301 八木淳一郎 盛岡の大気と大器

     
  JR陸中山田駅付近から望む西空。右下が金星、右上が木星、左上にオリオン。(2月12日午後6時46分)  
  JR陸中山田駅付近から望む西空。右下が金星、右上が木星、左上にオリオン。(2月12日午後6時46分)
 
  西空高く、宵の明星金星が鋭い光を放っています。そして、これより明るさは少し劣るものの、それでもなかなかに目だっているのが木星です。夕刻の天頂に輝く木星は、日ごと、金星に近づいていき、3月半ばに金星と木星が並んで輝き、盛岡市民の注目を浴びるに違いありません。3月の下旬にはこれに月が加わりますから、それは見事な光景となることでしょう。

  一方、火星が日に日に高く上ってくるようになりました。宵の口の東の空。ビルの谷間に赤い色の明るい星を見たら、火星だと思って間違いありません。しし座の後ろ足のあたりにいる火星は2年2カ月ぶりに地球に近づきつつあり、3月初めに最接近を迎えます。

  金星はおよそマイナス4等級、木星はマイナス2等級、火星はマイナス1等級。これに3月初めには水星が夕方の西空にほぼ0等級の明るさで輝きます。まさに惑星のオンパレードです。

  ちなみに、1等級違えば明るさは2・5倍違ってきますから、0等星というのは1等星より2・5倍明るいことになります。マイナス1等星である火星は1等星より約6倍明るく、木星は16倍、金星はなんと100倍!もの明るさです。金星が美の女神ヴィーナスにたとえられているのもうなずけます。

  ところで、惑星を除けば全天で一番明るい恒星はおおいぬ座のシリウスで、マイナス1・5等級です。このシリウスは今まさに旬の星ですし、他の星座を形作る星々もどの季節よりも明るいものが多いので、1年を通じて今の時期が最も華やかな夜空であると申せましょう。

  凛とした雪一色の街並みと、これに呼応するように光り輝く星々のちりばめられた夜空。こうした澄みわたった大気が、盛岡に住む人々の人情や暮らし向きを醸し出しているような気がします。

  気候・風土、そして南部の歴史に培われた盛岡の街並みと市民性。地域社会を大切にしつつも狭い穀に閉じこもることのないよう。歴史を大切にしながらも過去にばかり固執しないよう。そしてまた、観光都市はいいけれど“官公都市”には決してなってほしくない−きっと多くの市民はこんなことも気に掛けているのではないでしょうか。

  何より大切なのは、人文、地文、天文の三要素に配慮して、労もお金も惜しまずに進取の気概で若者を育む。人材育成−これこそが盛岡の新しい歴史を作り、多くの先人の恩に報いる道でありましょう。
(盛岡天文同好会会員)

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