盛岡タイムス Web News 2013年  7月  12日 (金)

       

■  ネット選挙解禁 成果は? 拡散効果実感の陣営 参院選 投票行動は未知数

     
   候補の街頭演説の模様をスマートフォンで撮影する運動員。写真に候補のメッセージを添えて情報発信する  
   候補の街頭演説の模様をスマートフォンで撮影する運動員。写真に候補のメッセージを添えて情報発信する
 


  第23回参院選はインターネットを通じた選挙運動が解禁され、各陣営がホームページやブログ、ツイッター、フェイスブックといったソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)を利用し情報発信している。公示から1週間が過ぎ、ネットによる拡散効果を実感している陣営も。ただ、陣営も有権者も、初めての経験だけに投票行動にどこまで結びつくかは未知数だ。

  各候補者や政党などが発信する情報はインターネットに接続したパソコンや携帯電話、スマートフォンがあれば誰でも閲覧できる。解禁以前は、選挙運動期間中にこうした媒体を更新し、情報発信することは禁止されていた。

  岩手選挙区の6候補も、その日の日程や政策をはじめ、遊説先で出会った人とのエピソードなどを紹介。動画サイトのユーチューブで演説の模様をノーカットで掲載している陣営も目立つ。

  ある陣営のIT担当者は「朝起きた時、有権者からの新しい応援メッセージが見られる。これだけでも候補者のモチベーションが全く違う」と話す。20歳から34歳のスマホ世代にターゲットを絞り、ネット選挙運動で「5万票獲得が目標」と鼻息が荒い。

  ホームページは政策や遊説日程など硬めの基本情報。フェイスブックには候補者の「人となり」が分かる青春時代の思い出の写真を掲載するなどツールを使い分け、有権者と双方向のやり取りを重視。ネットで寄せられた声も参考に演説内容を工夫している。候補のフェイスブックの友達は1千人を超えた。

  さらに遊説に来た大物政治家らに、候補への応援メッセージを手書きしてもらい、顔写真入りで掲載。今後は地元の有名人にも協力してもらうという。

  「ネットは効果が薄いという人もいるがアイデアがないだけ。たとえ県外からのアクセスでも、前に勤めていたとか、友達が住んでいるとか、岩手に何らかの縁があり、次につながる」と手応えを語る。

  ただ、どの陣営も選挙運動の主力は従来通り、街頭での触れ合いや集会、支援企業・団体へのあいさつ回り。ネットでの運動は「候補にお任せ」という陣営もあり、幹部の一人は「ネットの拡散効果は認めるが、実際に投票行動に結びつくかは別問題」と冷静に受け止める。

  ウェブ技術を用いた情報デザインやソーシャルデザインに関心を寄せる岩手大人文社会科学部の五味壮平准教授は「もともと政治に興味がある人にとってはアプローチしやすいツールだが、無関心な人への効果は薄い。ネットによる選挙運動が浸透し、影響が表れるまでには数年単位の時間がかかるのではないか」とみる。

  政治学が専門の県立大総合政策学部の斎藤俊明教授は「何気ない書き込みが、思わぬところで炎上する可能性があり、候補者も慎重にならざるを得ない。情報が関心を集めても一票を投じる動機付けにはなっていない」と指摘。「若年層の投票率を上げる目的であれば、政治の意義を教え、選挙に目を向かせるような教育から考えないといけない」と話す。


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