盛岡タイムス Web News 2013年  7月  14日 (日)

       

■  〈ジジからの絵手紙〉41 菅森幸一 だんご石

     
   
     

 中津川に架かる「中の橋」の下流に通称「だんご石」といわれる大きな岩があり、夏になると子どもたちの絶好の水遊びの場所となっていた。

  赤茶色の北上川や、現在の盛岡駅西口付近の雫石川、俗称「機関庫裏」を根拠地にしていたジジたちにとって、街の中心を流れる清冷な中津川はうらやましくてならなかったが、ここは杜陵小学校の縄張りで指をくわえているより仕方なかった。

  偵察と称しジジたちはよくのぞきに行った。中に紛れ込もうとした度胸のあるやつもいたそうだが、たちまち敵のボスに見破られ、さんざん油を絞られ、ほうほうの体で逃げ帰ったことも何度かあったらしい。

  当時珍しい海水パンツをはき水中眼鏡を手にした疎開者(戦災を逃れて地方へ避難して来た者)の新しいファッションに見とれたり、見物客が増えてくると必ず珍妙な飛び込みを披露するお調子者の批判をしたり、「アイヅラ、周りに畑もねし、桑の実や野イチゴもおがってねし、かわいそうだじぇな」と負け惜しみを言いつつ帰るのが毎度のことだった。

  今も「だんご石」は健在だが、フンドシ姿の子どもたちの歓声は聞こえない。


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