盛岡タイムス Web News 2013年  7月  23日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉179 及川彩子 成績公開の舞台裏


     
   
     

 ここイタリアでは、6月上旬から9月上旬までが夏のバカンス。そのバカンス前の年度末、中学・高校では、進級・卒業試験が行われます。

  試験には、個別の口頭試問もあり、期間は数週間にも及びます。そして数日後、結果が校舎前に貼り出されるので、生徒たちは戦々恐々。結果次第で、バカンスの過ごし方の明暗が分かれてしまうのです。

  アジアゴの理系高校1年目を終えたわが家の長女と成績発表を見に行くと、全校生一人一人の成績が、各教科ごとに、全て貼り出されていました〔写真〕。まさに通信簿の全公開。親子で抱き合い喜んだり、慰め合ったり…。プライベートの尊厳に反するとか、恥ずかしいなどと言っている場合ではありません。

  イタリアの試験は1教科10点満点。成績評価は10段階。5以下の評価を受けた教科は、9月の新学期が始まる前に再試験が行われます。このため教科の先生たちが、バカンス期間中に準備できるよう、生徒の弱点に合わせた個別の宿題を用意してくれるのです。

  けれども5以下の教科が3教科以上あると、再試験のチャンスもなく落第。点数は1年間の全試験の平均点から、機械的に割り出されるので、疑問の余地はありません。

  この試練は学生たちばかりではありません。あらゆる教育現場、音楽や美術などの専門学校の入学・卒業試験、教員採用試験の結果までも公表されるのですから驚きです。

  イタリアの成績公開システムは、競争をあおるのではなく、生徒個人個人が自分を見詰める場なのです。

  長女のクラス15人のうち、特に親しい友人2人が、残念ながら落第してしまいました。2人とも、1年生をやり直すのではなく、別の高校へ転校を希望しているとか。

  「本当にやりたい勉強を探すわ…」と本人たちは至って冷静。時に寄り道も必要。マイペースを貫くのがイタリア流です。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします