盛岡タイムス Web News 2013年  7月  31日 (水)

       

■  緑生かすか、交通安全か 盛岡市上田 国道46号 樹木保全で事業縮小に異論


     
   岩手大敷地の樹木(写真)をめぐり、影響低減か安全対策優先かをめぐり意見交換が行われている(国道4号方向から盛岡体育館前交差点を撮影)  
   岩手大敷地の樹木(写真)をめぐり、影響低減か安全対策優先かをめぐり意見交換が行われている(国道4号方向から盛岡体育館前交差点を撮影)
 

 国土交通省岩手河川国道事務所は、盛岡市上田地区の国道46号の交通事故対策について学識者や地元住民で構成する懇談会を設置した。2011年度策定の事業案を踏まえ、沿道にある岩手大の樹木の影響を低減しながら対策に向けた対応方針を決める。1回目の懇談会が29日開かれ、同事務所は影響低減重視で11年度よりも縮小した事業案を提示。これに対して安全対策優先を主張する委員が多数を占めた。

  設置された「上田地区樹木懇談会」は座長の南正昭岩手大工学部教授や樹木医の斉藤友彦小岩井農牧環境緑化部課長ら識者、同大事務局員、周辺町内会長ら10人で構成。高橋公浩同事務所長は29日の懇談会で「早く対策したいが、環境も大事にしたい」などと協力を呼び掛けた。

  事業予定区間は、東側が同事務所と市営盛岡体育館のある交差点、西端が館坂橋東の高松病院前交差点の約600b区間。11年度の段階では、この区間内に同大工学部と教育学部に沿ってソメイヨシノやプラタナス、ユリノキなど23種53本が事業に影響した(影響木)。

  整備内容は区間の両側に歩道各2・5b、自転車走行レーン各2b(一部1・75b)、車道各3・25bを整備。国道4号に向かう盛岡体育館前で右折レーンを35bから50bに延長し、左折レーンを新たに30b確保。事務所と道路をはさんで向かいの交差点部で歩行者滞留空間を拡張する。

  工学部正門と、さらに西側の市道が接続する丁字路に右折用の空間1・5bをそれぞれ設ける。

  懇談会では樹木の健全度評価により、53本中22本が「著しい被害」「不健全」との診断結果が示された。特に工学部側が半数以上を占める。このため影響低減策として自転車レーンを1・5bに短縮し、左折レーン廃止、拡幅歩道内の影響木をツリーサークルで囲って保護するなど事業の縮小案が出された。

  これにより影響木を32本まで縮減。伐採や移植だけでなく、支柱設置や樹形コントロール(継続的せん定)、根株を残した再萌芽による樹木更新などで、影響低減と現地での共生を図ると強調した。

  一方、町内会長らは「自転車レーンを当初の2bにしてほしい」「樹木は不要。安全対策優先を」「ソメイヨシノは寿命。伐採した方が良い」などと異論が出た。菅原亀悦同大名誉教授は「緑化としてはいいが、工学部の木は一本も価値がない。樹種更新など新たな緑化計画を大学が立てるべき」などと町内会を支持した。

  斉藤課長も「残した木の維持管理など工事後の姿、計画がないと残しても厄介者でかわいそうだ。落下の危険などへの巡回なども考えないと将来に禍根を残す」と指摘した。

  太野昭彦同大財務管理課長は「全面協力するのが大学の姿勢。健全度評価の結果、安全性が確認できないものは残すことを考えず伐採するべきは伐採する」と述べた。

  事務所側はこれに対して「案は樹木に配慮した。岩手大と調整し、意見を踏まえ、確認、調査したい。次回早期に懇談会を開き、方針を説明したい」と応じた。南座長は「議論をしっかりと市民に周知し、情報共有した上で協議が必要。環境変化への市民の過敏な反応もある」などと、くぎを刺した。

  懇談会を通じて対応方針が決まると、詳細設計や用地測量などを経て用地交渉、着工される。用地交渉の相手は主に同大。着工すれば2年間で完成見込みだが、完成時期は数年先と予測される。


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