盛岡タイムス Web News 2013年  9月  2日 (月)

       

■  〈わが歳時記〉 9月 高橋爾郎


 長月(ながつき)9月、残暑の季節だが、関東や中部、関西では30度を超える猛暑がつづいている。豪雨で被害を受けている所もあれば、貯水池の水が減って給水制限をしている地域もある。このような現象は地球温暖化によるもので、世界各地に発生しているという。

  暦のうえでは7日は気界冷却して露白くなる白露、23日は秋の真中、昼夜平分の秋分だ。8月の集中豪雨で、わが家の畑は水浸しになりジャガイモを全部腐らせてしまった。地這いのキュウリも泥にまみれてすっかり枯れてしまった。残念だが気を取り直して、そのあとを丁寧に耕し、秋大根の種子をまいたところだ。空には鰯雲(いわしぐも)がなびき、赤トンボが飛んでいる。

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  岩手県歌人クラブが結成されて今年で30周年になる。県内の歌人の親睦と協力により岩手の短歌の向上発展を目的とし、全県的な組織を作ろうと準備を進め、ようやく昭和58年2月20日に結成にこぎ着けたのだった。当日はあいにくの大雪に見舞われて交通がまひし沿岸地区から欠席が出たものの、それでも約200人が参加し、会場の共済ビルは満場あふれるばかりだった。会長森山耕平、副会長板宮清治・前川正平・高橋爾郎、監事衷纈艶M・及川亮賢・菅原杜詩、事務局長村上圭吾の各氏を選出、顧問は荒井光治・朝倉史耕・石沢喜一郎・川辺潔・小菅精一・狭山麓・佐和新介・新沼勝三郎・遊佐良雄・川合祐六・森荘巳池・遊座昭吾の各氏だった。そのあと森山さんから僕、菊澤耕一さん、柏崎驍二さん、八重嶋勲さんと会長をしてくださって現在に至っている。この30年間、歌人クラブは岩手芸術祭をはじめ、啄木祭、西行祭短歌会を推進し、年刊歌集も欠かさず刊行をつづけてきた。若手の歌人もどんどん進出している。若い人たちがたくさん参加してくれて、県歌人クラブがますます充実することを願っている。僕も役員は退いたが一会員として、まだまだ頑張るつもりだ。

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  夕飯のテーブルに大根おろしを添えて大きなサンマが1尾でんと出てきた。ほろ苦いハラワタが何ともおいしい。先日、大船渡魚市に今季初めての水揚げがあり、みずみずと青く光ったサンマがテレビ放映されていた。今年は約1週間遅れていて、魚群が薄く、本格的な水揚げは9月という。豊漁が待たれる秋だ。秋刀魚とはよくぴったりと名付けたものだと思う。

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  鰯雲風呂沸けば父呼びにゆく
                飯田龍太

  妻二タ夜あらず二タ夜の天の川
                中村草田男

 洗ひ髪ならべて月に姉妹
                柴田白葉女

 秋刀魚焼き妻はたのしきやわが前に
                加藤楸邨

  赤とんぼみな母探すごとくゆく
                細谷源二

(歌誌編集者)


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