盛岡タイムス Web News 2013年  9月  3日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉182 及川彩子 もう一つの家づくり


     
   
     

 世界中どの家にも、一つや二つの人形が飾られています。どの国でも女の子に愛されている人形の代表格は、セルロイドの着せ替え「バービー人形」。

  「人形」の起源は、古代エジプト王朝にさかのぼり、当時は信仰の対象だったと言われますが、今は愛玩具・観賞用・演劇分野などに欠かせないものとなってきました。

  そんな中、ヨーロッパで昔からの人気コレクションは「ドールハウス」。ドールハウスは、ミニチュア家具で再現する「夢の家」のことです。その起源もエジプト。古代の墓からドールハウスが出土したのです。記録に残る最古のドールハウスは16世紀。貴族が自分の肖像画の代わりに、屋敷の模型を作らせたと言われ、以来、教育玩具の意味合いも含め、コレクションの筆頭になったのです。

  基本になる大きさは、実物の12分の1。台所には食卓・食器・食材、寝室にはベッド・しょく台・読みかけの本、子ども部屋に転がる小さな玩具、納屋には使いかけのほうきなど、本物そっくりのミニチュアに心が和みます。

  あくまでも「家」が主役で、人形を置かないのが基本。どこからか家族のおしゃべりが聞こえてきそうなその空間に、人形は必要ないのかもしれません。

  ミニチュアは、一つずつ買いそろえることもできますが、本格派は手作り。イタリア風なら、華麗なルネサンス時代の家具工芸、イギリス風ならチューダー王朝の騎士の館、あるいはカントリー風と、さまざまな歴史文化をお手本に、粘土や木工細工で手作りするのです。

  わが家のお隣さんのクリスティーナもドールハウスのコレクター。木工好きのご主人が設計、一人息子のドメニコが組み立てて着色した家はカントリー風〔写真〕。クリスティーナは、パン生地を焼いて作る陶器風小物。裁縫や花壇などを担当する親戚の人たち。日曜などに、家族総出で、もう一つの家づくりを楽しんでいるのです。


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします