盛岡タイムス Web News 2013年  9月  8日 (日)

       

■  農地復旧見えず不安 県央豪雨災害から1カ月(上) 紫波郡 詳しい情報欲しい農業者 河川改修早期着手を 岩崎川氾濫の懸念が現実に

     
  大量の土砂の犠牲となった水田。悲しそうな面持ちで稲を眺める鷹觜さん。流されてきた岩や木も残されたままだ  
  大量の土砂の犠牲となった水田。悲しそうな面持ちで稲を眺める鷹觜さん。流されてきた岩や木も残されたままだ
 


  8月9日に県央部を襲った記録的な集中豪雨から1カ月が経過した。盛岡市や雫石町、紫波郡を中心に住宅、農地・農業施設、土木施設、観光・商業施設など、広範囲で大規模な被害が起きた。住民、行政により懸命な再建・復旧作業が行われているが、財源の関係などを理由に手つかずの部分が多く残されている。かつて経験したことのない被害からの復旧復興への課題、必要な支援は何か。被災した住民らの声を聞いた。

  紫波郡では住宅、農業関係で大きな被害があった。紫波町では被害額の約半分を農業関係が占める事態となった。山沿いの地域では沢などの氾濫で大量の土砂が流入し、対応が急がれる。矢巾町は岩崎川の氾濫で中心部が浸水。床上浸水の住宅も多くあったが1カ月たち、ボランティアの尽力で清掃などは終息を迎えようとしている。

  同町土館の鷹觜良一さん(70)の10eの水田は大半の稲が土砂に埋もれ、姿が見えない状況になっている。ほかにも流木や岩なども流れ込み、自力での復旧は厳しい。

  鷹觜さんは「音を立てて、ものすごい勢いで土砂が流れてきた。70年生きてきて、こんなことは初めてだ。今後、どのような対応をしてくれるのか全く分からず、不安だ」と口にした。

  今期の農業用水の通水が不可能となった山王海土地改良区の管轄地域の農家では、1カ月たった現在、用水路の復旧対策状況などが全く見えなく、不安の色を隠せない。来年の作付けに間に合うか不安視する農家が多い。

  同管轄地内の50代の農家の女性は「今期は使えないということまでは8月12日あたりに情報が入ってきた。しかし、その後は全く何の情報も流してくれない。1カ月たったが詳しい情報がない。今の状況を周知すべきだと思う」と厳しい口調。

  町によると現在、農業被害の状況を大小に振り分けている状況。今後、説明会を町内3地区で開催し、復旧方法などの見通しを報告する。

  同改良区の通水設備の一部は町主体で、9月中旬には復旧工事に着手するとしている。同改良区では来年の作付けに間に合わせるべく、河川管理者である県に対して工事の早期着手を要請していく。同改良区はホームページで災害情報を公開している。

  浸水地域の一つ、矢巾町又兵エ新田の久慈正夫新田1区自治会長は「町の年長者に聞いても、あれほどの水害は経験したことがないと言っていた」と話す。

  岩崎川氾濫による水害は同地区の懸案事項で、自主防災の観点からも住民同士で話し合いを重ねていた。7月28日には県の担当者が訪れ、河川の改修についてめどが立ったことを聞き、安心している最中の災害だった。濁流が一気に押し寄せたといい、久慈会長宅には床上40aほどまで浸水した。

  「当日は午後7時になっても水が引かなかったので、避難所の公民館に泊まった人も多かった。地区には下水が逆流した家もあり、片付けには苦労したと思う。徐々に落ち着いてきたが、家の中の清掃はもう少しかかりそうだ」と話す。

  住民には、いつまた起きるか分からない不安がある。久慈会長は「教訓にして、自主防災を地域で改めて考えていく。河川の改修については、できるだけ早く着手してほしい」と要望した。


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