盛岡タイムス Web News 2013年  10月  2日 (水)

       

■  消費税来年4月から8%に 県内経済に波紋広げる 首相が増税実施を表明 住宅は特需、消費は節約影響 達増知事「増税の決定は残念」


     
  盛岡商工会議所に設けられている消費税相談の窓口  
  盛岡商工会議所に設けられている消費税相談の窓口
 

 安倍首相は1日、2014年4月から消費税率を8%に引き上げることを表明した。5兆円規模の経済対策と併せて景気浮揚を狙うが、3%の税率アップは家計に大きく響く。復興特別法人税の1年前倒しによる廃止や、法人税減税による賃金上昇の誘導など、景気浮揚にアベノミクスの特色を打ち出した。県民生活に与える影響を、経済界は注視している。

  県商工会議所連合会の元持勝利会長は「首相が来年4月から消費税率を引き上げる表明をしたが、これは社会保障の財源問題や、基礎的財政収支の黒字化を進める上でやむを得ないと考える。ただ消費税率引き上げで、上向いてきた景気の腰折れにつながらないよう、法人税減税や低所得者への給付措置など経済対策と、震災復興対策もしっかりしていただきたい。商工会議所としては既に税率引き上げによる地域中小、小規模事業者が価格転嫁をワンストップで対応しており、今後も支援を継続する」との談話を発表した。

  ハウジングのシリウス(盛岡市)の佐藤幸夫社長は「予想通りで驚きはない。住宅業界では春から来年4月の値上げを見据えて動いてきた。9月末までに契約すれば14年4月からの住宅着工でも消費税5%で対応していたので、当社では通常の3、4倍の契約率で駆け込み需要も発生した。これからは特需を期待できず、人件費も資材費も上がっており、特需の反動が恐い。冷え込まなければよいが」と懸念を示した。

  イオンスーパーセンター(同市)の東尾啓央社長は「基本的に消費が上向くとは思われず、来年度は厳しい消費環境になるであろう予測のもと取り組んでいる。生活必需品中心の業態は、色濃く影響を受けると予想する。自社ブランド商品を中心に今と同じ価格帯を維持し、競争他社と差別化しながら、お客さまの要望に応えたい。全部は難しいが、自社ブランドは大量に注文したり、流通を合理化する中で、ある程度は(上げ幅を)吸収していける可能性はある」と話し、プライベートブランドを中心に競争力を高め、税率アップに備える。

  いわて生協の飯塚明彦理事長は「8%への増税決定は、10%、20%へのさらなる消費税増税へのスタートであり、断固反対。消費税増税によって景気が悪くなるからと、法人税減税など6兆円もの経済対策をやるのであれば、消費税増税自体をやめるべき。福祉のためとして導入された消費税だが、この24年間、年金も医療も介護も悪くなるばかりで、消費税は実質、法人税減税や株でもうけている人の減税財源になってきた。にもかかわらず今回、消費税増税と法人税減税をセットで出したのは前代未聞のことで問題」と反対した。

  東北税理士会盛岡支部の猿川裕巳税理士は「消費税が増えた分の転嫁を阻害する行為がないように、上から下に圧力をかけることは禁止するよう、しっかりしてもらわないと中小企業が泣くことになる」と述べ、税率に従い、価格への適切な転嫁を求める。

  経過措置による税務処理の複雑化も懸念する。「9月30日までに契約したものは、長期に役務を提供するものでも5%の経過措置がある。来年の4月1日から、5%の取引と8%の取引の双方が経理処理、税務処理として出てくる。さらに10%になると、日常の税務処理、経理処理の中で5%、8%、10%が混在し、事務負担がかなり出てくる恐れがある」と話し、会計上の留意点を指摘した。

 達増知事は首相の表明を受け「経済的に弱い立場にある方や、多くの中小企業など国民生活の多方面に多大な影響を及ぼすことが懸念される。来年4月の消費税増税の実施時期は、本県の復興計画における『本格復興期間』のスタートの時期と重なる。これまでも、政府に対して、被災地の経済実態を的確に把握したうえで慎重に判断するよう求めてきたが、今回、政府が消費税増税を決定したことは残念。地方経済の落ち込みや復興の遅れを招かぬよう、しっかりとした対策を求めていきたい」などとコメントを出した。


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