盛岡タイムス Web News 2013年  10月  6日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉47 菅森幸一「肥後守」

     
   
     

 当時の子どもたちが持ち歩いていたのが小型ナイフ。特に男の子に人気があったのが折り畳み式の「肥後守(ひごのかみ)」でホームセンターに行けば今でもある。

  これには理由があって、第一は鉛筆を削るためだ。シャープペンシルも鉛筆削り器もない時代だから必需品だ。

  第二は玩具を作るためで、どこにも玩具なんて売っていないから自分たちで工夫して作るしかない。竹トンボや紙鉄砲のような初級から難度の高い模型飛行機作りまで「肥後守」はその持ち主の技量に応じて縦横無尽にその力を発揮したものだ。

  第三は教育的理由である。日頃から危険な刃物と触れ合う機会を与えることで、大人になって困らない器用さを身に付けさせようという意図があった。

  しかし、身近にあるナイフは一歩間違えば凶器に変わる。当時の子どもたちは刃物の恐ろしさを身をもって知っていたが、いつしか大人は便利で安全な文房具を与えることで、子どもたちから創造力や器用さや応用力を奪い取ってしまった。リンゴの皮がむけない母親や鉛筆の芯を研げない父親の出現は、現代版の「刀狩り」とも言える無残な結果ともいえる。


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