盛岡タイムス Web News 2013年  10月  17日 (木)

       

■  その場で役立つ情報 県大生がガイドシステム 佐藤亮さん 石神の丘美術館で研究


     
   美術館のガイドシステムの開発に取り組む県立大大学院の佐藤亮さん(手前)と市川尚准教授  
   美術館のガイドシステムの開発に取り組む県立大大学院の佐藤亮さん(手前)と市川尚准教授
 

 盛岡商高出身で、県立大大学院ソフトウェア情報学研究科1年の佐藤亮さん(23)は、岩手町立石神の丘美術館のガイドシステムの開発に携わっている。11月4日まで開催中の企画展「石神の丘アートウオーク2013」では、出品作家の声を携帯端末で聞きながら、屋内外に点在する作品を鑑賞できる仕組みを提供。佐藤さんは「美術館にも来場者にも役立つシステムになればいい。楽しみながら鑑賞してもらって、さらにそこで会話が生まれればまたうれしい」と話している。

  ガイドシステムとは、作品のキャプションに印字されたQRコード(2次元コード)を携帯電話端末などで読み取り、表示されたリンクにアクセスすると、作品や作者の情報をその場で得られる機能。アートウオークでは、出品作家9人の情報をはじめ、現役作家本人の声も聞ける。

  このシステムの開発は、同大社会情報システム学講座(阿部昭博研究室)の一環で2008年から始まった。「限られたスタッフの数で、常駐で野外展示を案内することが難しい」「野外展示場が広大で情報を知りたい時の手掛かりが少ない」などの同館の課題をもとに、先代の学生が着手した。

  佐藤さんは3代目の学生。先輩が開発した既存のシステムを受け継ぎながら、自分なりの研究課題を新たに見つけ、学部生時代の12年からシステム改良や開発に取り組んだ。

  1年目の課題は「ガイドシステムにアクセスしたまま展示場内を歩く人が少ない。続けて作品の鑑賞を促すにはどうするか」。佐藤さんの答えはゲーム。指示に従って作品をたどり、各設問をクリアし、全てのアイテムを集めることで、石神の丘のキャラクター「ブルーベリーナちゃん」を大蛇から救うシナリオになっている。

     
   アートウオークのキャプション。QRコードにアクセスすると作家の声も聞ける(岩手町立石神の丘美術館提供)  
   アートウオークのキャプション。QRコードにアクセスすると作家の声も聞ける(岩手町立石神の丘美術館提供)
 


  開発2年目の現在の課題は「道の駅の利用者を美術館にどうやって誘客するか」。同館に隣接する道の駅をフィールドに、定点観測で人の動きを分析。レストランなどからの誘客システムを考え中。佐藤さんは「道の駅に訪れる人が美術館で新しい発見を持ってもらえるシステムができればいい」と打ち込む。

  同大の市川尚准教授は「最初の学生はシステムの運用までは行かず、次の学生で運用ができ、今の佐藤さんで拡張していった。社会情報システム学は、社会の役に立ちましょうという研究分野。美術館は学生にとって、いい研究フィールドになっている」と話す。

  同館学芸員の齋藤桃子さんは「システムの開発は自分たちだけでは思いつかなかったこと。学生さんたちが引き継いでバージョンアップをしてくれるので頼もしいです」と学生ならではの力に期待している。
  


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