盛岡タイムス Web News 2013年  10月  25日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉172 草野悟 まめぶの親分、幻のおやつ


     
   
     

 久慈市山形町で「ぐれっとやまがた街道祭」があり、バッタリー村も会場になりました。旧知の村長「木藤古徳一郎」さん(83)を訪ねて、というより息子さんの修一さんと毎年恒例の「マツタケ狩り」を目的に行ってきました。で…素人の浅ましいもくろみは見事に玉砕。今年は1本も見つけられず。でも楽しいバッタリー村のお祭りを堪能しました。

  この88歳になる「本家のおばあちゃん」が、なにやら炭火をいじっております。なにをしているかというと、世界でここだけの「ほど餅」を焼いているところです。真赤に燃えた炭の下に餅を入れて灰をかぶせて焼いてます。焼き方に相当の熟練した技が必要です。「本家のおばあちゃん」じゃなければできない技です。

  なによりもすごいのは、この「ほど餅」の中身です。実は、「あまちゃん」でおなじみの「まめぶ」と全く同じ作り方。「まめぶ」は、この山形町が本家本元なのです。しっかりこねた小麦粉の生地に、黒砂糖とクルミを包み込み、まんじゅう型にしてから灰の中に埋めていきます。つまり「まめぶ」を大きくしたものなのです。「まめぶ」はゆでますが、「ほど餅」は焼きます。遠赤外線でじっくりと焼きますから、時間もかかります。

  天野アキが「甘えんだが、しょっぱいんだが、わがんね」と言った「まめぶ」は、しょうゆ汁の中に浮かべますが、焼いた「ほど餅」は、ほどよく焦げた香ばしい生地とその歯応えがなんともなく田舎らしい素朴な味になります。しかも、あんに行きつくと、黒砂糖とクルミが遠赤外線で混然一体となり、高級なお菓子も逃げ出してしまう素晴らしい甘さが口いっぱいに広がります。

  熱々でなければなりません。ルールがあります。冷めてしまったものは駄目なのです(本当は十分うまいけど)。 そうなると、もう一度灰の中に入れて焼き直しをします。生地が厚いので何度も焼けます。両手で「あつ、熱っ、」と言いながらフーフーして食べるのが正調ほど餅作法なのです。

  この「本家おばあちゃん」の「ほど餅」を求めて、行列ができます。焼けるまで楽しそうに待っています。決して「早くしてけろ」などと無粋なことを言っては駄目なのです。また来年、89歳になる「本家のおばあちゃん」の「ほど餅」を頂きにいきます。おばあちゃん、それまでお元気で。
(岩手県中核観光コーディネーター) 


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