盛岡タイムス Web News 2013年  10月  30日 (水)

       

■  地区に医療福祉の拠点を 社会実験通じて活用策探る 雫石町 閉鎖から1年の旧西山診療所


     
  社会実験を実施中の旧西山診療所で笑いヨガを体験(28日)  
  社会実験を実施中の旧西山診療所で笑いヨガを体験(28日)
 

 雫石町長山の旧西山診療所で28日から11月1日まで、社会実験が行われている。西山地区(旧西山村)の町民を対象に、健康を推進するプログラムを日替わりで実施。内容は町内の医師による講話や健康づくり体験、交流会で、参加住民は5日間で延べ60人を予定している。診療所の閉鎖から1年。普段の生活で不安に感じていることや医療福祉サービスへの希望など、住民から生の声を聞き取り、地域の要望に合った同診療所の活用策を検討していく。

  「みんなが生き生きとした地域づくりのために」をテーマに町が主催し、プログラムの運営は滝沢村のNPO法人ヘルスプロモーションいわて(立身政信理事長)が担当。初日は9人が参加し、元診察室の広間で、町健康センター長で雫石診療所の増田進医師による健康講話や笑いヨガを体験した。

  交流会ではお茶餅を囲んで、日ごろの生活について話した。壁には、昭和期の町内の写真や町で開墾生活を送った画家の深沢省三・紅子夫妻の油彩画も飾られ、会話の種になっていた。

  同診療所は、医師の高齢化で2012年9月末で閉鎖。参加者からは「本当に親しかったの。だからなくなって寂しい」「朝の4時半ころに来ても開けてもらって、仕事に差し支えない状態だった」「病気がなくても来たのさ」との声が行き交い、信頼の高さや地域のよりどころであった様子がうかがえた。

  現在、町内には病院2カ所、診療所7カ所がある。旧西山診療所は西山地区で唯一の医療機関で、閉鎖により地域医療の拠点を失った。同診療所に通院していた住民は、同地区の中心地から5、6`離れた医院に通っている。

  町では、総合計画推進モデルプロジェクトで未利用地の活用を掲げ、同診療所での地域包括ケアシステムの可能性を探っている。要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを続けられるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援を一体的に提供するシステムで、交流会では同施設の将来像も聞き取られた。

  「毎日ではなくとも、1週間に1回や2回来て診てくれる先生がいればいいな」「小学校も統合されるだろうから、余計に過疎になる。運動会に行く地域の人は少なくなると思う」「今は隣家との結び付きがあって生活に不便は感じていないが、10年、20年後に不安がある」と地域力の低下を心配する声もあった。

  ヘルスプロモーションいわての熊谷智義理事は「持続可能な地域と包括ケアは相互の関係にある。健康の切り口で話し合いのきっかけを作り、地域のニーズを探る第一歩にしていきたい」と話す。

  町健康推進課の若林武文課長は「庁舎内だけで活用策を考えるのではなく、地域に出ないとニーズが分からない。必要なものは出張診療所なのか、グループホームなのか、サロンなのか。地域に本当に必要とされるものの命を施設に吹き込みたい」と話している。


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