盛岡タイムス Web News 2014年  4月   1日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉197 及川彩子 ベネチアに響く歌声


     
   
     

 あちこちから花の便りが届く3月の末、故郷、岩手の不来方高校合唱部がイタリアにやってきました。村松玲子先生の指導で、数年に一度、春休みを利用してヨーロッパ演奏旅行をしているのです。

  前年度の全日本合唱コンクールで文部大臣賞に輝いた歌声は、3度目のイタリア。フィレンツェを皮切りに、ベネチア経由で私の住む高原のアジアゴへ。そして、ブレーシャからミラノへと北イタリア横断です。

  旧知の音楽仲間である村松先生と1年がかりで打ち合わせ、由緒ある教会での献歌、学校訪問、地元合唱団とのジョイントなど、計画は盛りだくさんになりました。

  私が、総勢45人の一行を出迎えた水の都ベネチアでは、ヒタヒタと波が寄せる運河とゴンドラ、迷路のような路地を興味深そうに見ながら闊歩(かっぽ)する生徒たち。

  真っ青に晴れ上がった朝、一番に向かったのがサンマルコ大寺院。そこは、中世ヨーロッパの玄関で、数百年の年月をかけて建造された黄金モザイクの大クーポラが有名です。大寺院での献歌は、ルネサンスの聖歌。

  その後、15世紀のゴシック建築の傑作、サンザッカリア教会で、グレゴリオ聖歌から日本古謡「桜」までを歌いました[写真]。

  祭壇を前に歌える喜びからか、歌い出すと、みんな、一回りも大きく見えます。民族や宗教を超えたハーモニーが、魔法のように、体に染みてくるのでした。

  始まったばかりの旅に興奮しつつ、サンマルコ広場や水上バス、ベネチアガラス工房、街角…訪れる先々で歌い出す生徒たち。その響きに、思わず立ち止まり、聴き入るベネチアの人たち、そして各国からの観光客…。「初めて見る風景が、もっと音楽を知るきっかけになる。いろんな国の人に伝えられる喜びがある」と口をそろえる、一戸茉璃さん、丸山風音さん、三宅華可さんの3人は4月から大学進学。旅立ちの心の準備も万全です。


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