盛岡タイムス Web News 2014年  4月   6日 (日)

       

■ 〈体感思観〉 「同胞」は松尾の文化 編集局 荒川聡

 八幡平市を担当して10年近くになる。旧松尾村を舞台とした山田洋次監督の映画「同胞(はらから)」を紹介する機会にようやくめぐり合えた。同胞に関わった松尾青年会の元メンバーが中心となって、製作40周年を記念した上映会の実行委員会が2月に発足し、7月19、20日の日程で準備が進められている。上映会企画を紙面で紹介後、松尾の同胞塾を訪ね、製作当時の話を詳しく聞かせてもらった。

  山田監督、女優の倍賞千恵子さんらと、同胞に出演した松尾青年会の元青年たちは、途絶えることなく交流が続いている。松尾を訪れる時、故郷に帰ったような心境になるようだ。

  自宅2階に「同胞塾」を開設し、撮影当時の写真などを展示紹介している工藤金子さんは、特に親しくしている。東日本大震災津波の翌日、工藤さん宅の電話が鳴った。最初に倍賞さん、続いて寺尾聰さんからの電話。

  工藤さんは、寺尾さんと交わした会話を鮮明に覚えていた。「金子、俺だよ」と、同胞の方言指導で工藤さんが教えたイントネーションで話し、工藤さんが「あー寺尾さん」と答えと、「地震 大丈夫だか」と、心配そうに聞いたという。

  この年には山田監督もNHKの番組撮影で松尾を訪れ、「同胞には特別な思いがある。あなたたちは僕の誇りです」と語り、60代になった松尾青年会の元メンバーたちは感激した。

  上映から約40年の間に、木造の旧松尾村役場、松尾中学校の校舎、松尾八幡平駅などが建て替えられた。一方で松尾地区公民館野駄分館、商店、牛舎、酒場などで、当時の雰囲気を残す努力がされてきた。山田監督の数多い作品の中で同胞を一番に挙げる人もあり、平泉観光をした後に松尾を訪れる人もいた。

  実行委員会では「同胞ロケ地を観光ルートにできないか。多くの人が訪れることによって、地域の文化として認識してもらいたい」との思いを強くしている。松尾で多くの俳優やスタッフ、映画のことを全く知らない地元の青年たちが協力し、半年以上かけて製作された同胞。40年間続く交流、当時の姿を残すロケ地の数々、これは全て歴史、文化だと思う。


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