盛岡タイムス Web News 2014年  4月   7日 (月)

       

■  未来につなぐ希望の鉄路 三陸鉄道 南北リアス線全面再開


     
   3年ぶりに全線運行を再開した三陸鉄道北リアス線。宮古駅を出発する記念列車をくす玉を割って祝福する市民や自治体関係者ら=6日午前11時半  
   3年ぶりに全線運行を再開した三陸鉄道北リアス線。宮古駅を出発する記念列車をくす玉を割って祝福する市民や自治体関係者ら=6日午前11時半
 

 東日本大震災津波で大きな被害を受けた、三陸鉄道(望月正彦社長)は6日、最後まで工事が続いていた北リアス線田野畑―小本間(10・5`)の運転が再開され、107・6`の南北リアス全線が復旧した。生活の足としてはもちろん、観光客誘致の柱としても期待がかかる「希望の鉄路」。沿線住民は国内外からの支援や三鉄マンの努力に感謝しながら、喜びをかみしめた。

  午前9時55分、宮古駅には、久慈駅を出発した記念列車が予定より約15分遅れで到着。各駅で大歓迎を受けた乗客が笑顔でホームに降り立った。久慈市の佐々木由美子さん(58)は、孫の石花葵さん(普代小3年)ら家族5人で乗車。「みなさんの応援で復興が進んでいる。各駅で手を振ってもらって感激」と声を弾ませた。

  記念列車をカメラに収めようとホームで待ち構えた宮古市鍬ケ崎の古里裕城さんは「三陸鉄道の復旧は地元の悲願。地域活性化の足がかりになってほしい」。娘二人が三鉄に勤務しているという同市長町の成ケ澤マツ子さん(59)は「ここまで本当によく頑張った。何とか地元の力で運行が続けられるよう応援していきたい」と目を潤ませた。

  宮古駅前は、いかぽっぽやカニ汁などのテントが並び、餅まきも行われるなど祝賀ムード一色。威勢のいい太鼓で、乗降客を歓迎した宮古水産高太鼓部の上田つぐ美さん(3年)は「きょうのために一生懸命練習してきた。いろいろな人が活発に来てくれるような地域になってほしい」と力を込めた。

  同駅前の特設テントで行われた記念式典には太田昭宏国土交通大臣、根本匠復興大臣、新車両導入を支援したクウェートのアルオタイビ駐日大使夫妻、支援を仲介した日本赤十字社の赤十字広報特使・女優の藤原紀香さんら約180人が出席した。

  望月社長は「厳しい状況は続くが、生活の足としての役割を果たし、全国から大勢のお客さまを迎えて産業振興や地域の活性化に貢献する」と全線運行再開を宣言。太田国土交通大臣は「三陸鉄道の全線復旧は被災地を勇気づけ、復興の加速に向けた原動力になる」と祝辞を述べた。

  達増知事は「地元の底力と、さまざまなつながりの力が全線運行再開を実現した。未来に向かい持続可能な発展をしていかなければならない」と決意。山本正徳宮古市長は「三陸鉄道の復活を機に、JR山田線の復活も成し遂げていかなければならない」と呼び掛けた。

  式典後、久慈駅に向かう記念列車の見送りがホームで盛大に行われ、クウェート駐日大使らがくす玉を割って門出を祝福。出発の汽笛が鳴ると、万歳三唱の声も響いた。

  久慈駅では、NHK連続ドラマ「あまちゃん」で北三陸駅長を演じた俳優の杉本哲太さんらを迎えて運行再開セレモニーがあり、地元住民や大勢の鉄道ファンでにぎわった。

  三陸鉄道は今年、開業30周年。いまだ、周囲に住宅が再建されていない駅も多く、全線運行再開の喜びと同時に、厳しい現実とも立ち向かわなければならない。「震災学習列車」など教育旅行や、地元漁業者、市民団体とタイアップした体験型観光で、利用客増を目指す。

  宮古駅前の事業者の一人は「地元の復興はまだまだ進んでおらず、三鉄の経営も大変だろう。内陸の人たちが、どんどん沿岸被災地に足を運び、お金を使ってもらうことが何よりの支援になる」と話した。


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