盛岡タイムス Web News 2014年  4月   8日 (火)

       

■  〈詩人のポスト〉 「暦の上では」北里志郎


   
暦の上では春だというのに
三月三日 野辺地の海辺は地吹雪だった
焦る心にブレーキをかけ
呪縛する時間と風雪を掻き分け掻き分け
やっと 凍りついた県病の二重ドアをこじ開けて
這いずるように辿り着いたっけ

暦の上では夏だというのに
予定を繰り上げた台風が
自虐的に次々と列島を襲い
志功≠フ向日葵も項垂れっぱなしだ

暦の上では秋だというのに
アナウンサーは同じ原稿を読み上げるだけだ
秋はどこまで来ているのだろう
遅れて墓参したふるさとの峠道には
萩の花が咲いていた

暦の上では冬だというのに
光太郎≠フきっぱりとした冬も来ない
拘る思いで暦をめくってみると
季節の挨拶もなく
そこは空白の地紋だけであった
不謹慎と謗られようが
冬を越えてさくらの便りがほしいなあ

 ※野辺地=下北半島の付け根の町


本ページ掲載内容の無断転載を禁じます
ホームページに関するお問い合わせ、取材に関する情報は
E-Mail:hensyuu@morioka-times.com
盛岡タイムス宛てにお願いします