盛岡タイムス Web News 2014年  4月  20日 (日)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 馬場恵 心の痛みに寄り添う仕事を

 盛岡市復興学生支援寮(シェアハウス)は、この春、開設3年目を迎えた。今年は新たに10人が入寮し、盛岡の大学や専門学校で学ぶ。被災地の親元を離れ、新たな一歩を踏み出す彼らに心からエールを送りたい。

  2月に、この寮の1期生で、専門学校の卒業を迎えた大槌町出身の佐々木芙結花さんと宮古市出身で同じ専門学校に通う佐々木栞さんに話を聞いた。東日本大震災の発災時は2人とも地元高校の2年生。明かしてくれた震災当時の体験は強く心に残った。

  芙結花さんは自宅が流失。自分の高校の体育館に寝泊まりしながら、3年生の大事な時期を過ごした。家族全員、津波からは逃れたものの、その年の7月、祖父の信太郎さんが亡くなった。慣れない避難所生活で体調を崩していたことが、後で分かったという。

  共働きの両親に代わって、いつも自分の帰りを待っていてくれた優しい祖父。芙結花さんは小さな遺影を支援寮の自室にも大事に飾っていた。

  一方、栞さんは、同じ高校の親友の彼が津波にのまれた。待ってもついに帰らず、親友と二人、遺体安置所を探し回った。やっと見つけた彼は、胸に親友とおそろいの携帯電話をぶら下げたまま冷たくなっていた。泣き崩れる親友の背中をさすりながら、一緒に泣くことしかできなかったという。

  おしゃれで、かわいい現代っ子の彼女たち。屈託のない笑顔の陰で、どれほど多くのことを乗り越えてきたのだろう。普段の明るさからは想像できない重い記憶に触れた気がして、がくぜんとした。

  あの日の記憶はしだいに薄くなっていく。気持ちを整理して前に進むことは大事なことだが、決して忘れてはいけない。心の痛みに寄り添う仕事をしなければ、と思う。

  介護福祉士として社会人1年生になった二人が、さらに成長し、希望あふれる未来をつかむことを願わずにはいられない。


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