盛岡タイムス Web News 2014年  4月  29日 (火)

       

■  〈イタリアンチロルの昼下がり〉199 及川彩子 ベッペさんの自転車


     
   
     

 イタリア暮らしも17年。いろんな活動を通じ、あるいは主人の仕事仲間、娘たちの友人と、その父母、そして隣近所と、交流の輪は、大きく広がりました。

  その中でも、ここアジアゴ高原から車で1時間、バロック建築で知られる古都ビチンザ近郊に住むジュゼッペさんは、わが家自慢の友人の一人です。86歳。愛称ベッペ。

  友人を介して知り合ってまだ数年ですが、すぐに意気投合。86歳とは思えない若々しさと、陽気さに、魅せられたのです。さらに、毎朝欠かさず、自転車で100`走行するほどの自転車好きには驚かされます。

  若い頃、トラックの運転手だったベッペさんは、65歳で引退後、本格的に自転車を始め、以来20年、雨の日も雪の日も、走り続けているというのですから驚きです[写真]。

  毎朝8時前、簡単な朝食を取って出発。50`先の川のある風光明媚(めいび)なバッサーノの町を目指すのが最近の日課。到着後は、なじみの喫茶店でカフェタイム。昼過ぎに帰宅し、ゆっくり昼食をとるのだそうです。

  ベッペさんいわく「のんびり、その日の風景を楽しむのがいいんだよ…」。愛用の自転車は競技用。値段は30万円以上とか。

  イタリアは、サッカーやバレーボールの国として知られますが、競技人口の1番は、自転車。競技会には全く興味ないというベッペさんですが、「幾つになっても上達あるのみ」と、橋やカーブ、上り下りの多いロードを走るのが醍醐味(だいごみ)だそうです。

  自転車の魅力を尋ねると「乗ると、20代の自分に戻れるし、世の中の不満も忘れられる。若くして逝った息子の悲しみも、自転車のおかげで軽くなった」と語っていました。

  また、ベッペさんは、自転車ばかりではなく、社交ダンスもお得意。生バンドを求め、隣町まで踊りに出掛けるとも聞きました。

  高年齢化対策など何のその。イタリアの老人はいつも前向き。「今が青春」なのです。

 


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