盛岡タイムス Web News 2015年  1月  3日 (土)

       

■ 盛岡市菜園Pen.心の筆先えりすぐる 万年筆ボールペン こだわりのセレクトショップ



     
  商品と店主に信頼を寄せる客が多い。商品を扱う手元に洗練さを感じる  
  商品と店主に信頼を寄せる客が多い。商品を扱う手元に洗練さを感じる  
     
  盛岡市菜園1丁目に開店したPen.  
  盛岡市菜園1丁目に開店したPen.  

 ボールペンや万年筆を中心に身近な文具を、ワンランク上のこだわりを持ってそろえている筆記具のセレクトショップPen.(ペン=菊池保宏社長)が盛岡市菜園1丁目に昨秋オープンし、静かな人気を呼んでいる。在庫は国内外メーカーの100本ほど。値段は3千円から10万円。陳列されている商品にブランドタグは一切ついていない。心静かに文字をしたためてみたい。

  同店にはこだわりの文具がさまざまある。「溜息3秒ペンスタンド」。ペンの外径とペンスタンドの内径の差は20マイクロb。ペンをスタンドに差し込み手を離すと、ペンの重力により空気が少しずつ外に押し出され、安堵(あんど)のため息をつくような優雅さでペンがスタンドの中へ沈んでいく。そのほか、紙の表面の凹凸を埋める無機顔料の填料(てんりょう)を施し、滑らかな書き味を楽しめる「万年筆のために抄造(しょうぞう)された紙」、ぬらぬら書くをコンセプトに万年筆の書き味を追求し、明朗な文字の輪郭と心地よいタッチを楽しめるメモ帳「万年筆ぬらぬら派」など、洗練された雰囲気の中に機能性に優れた品が並ぶ。

  菊池社長は、一関生まれの34歳。工業高校に進んだもののデザインに興味が湧き、盛岡の専門学校のCGマルチメディア学科に進学。22歳の時に盛岡駅前通のホテルルイズのフロントマンとして、接客業を学んだ。運命を変える出来事がある。末期がんを宣告された友人の母親が、形見分けとして50万円ほどする時計を友人に贈ったという。世代を引き継ぐ「物」の存在を知り、ストーリーを紡ぐ役割がある「物」に携わりたいと思った。そして、盛岡市大通の道又時計店(道又和人社長)に転職を決める。ここで「Pen.」の経営理念の基盤を築くことになる。

  商品知識を会得するために、入社後しばらくは睡眠時間1日1時間が続いたという。腕時計の仕組み、原理、金属の密度などを徹底的に覚えた。先輩に習い、話し方など接客を勉強し直したという。菊池社長は「説明で付加価値をつけるのが接客の力。そして、接客はクリエーティブな仕事」と話す。

  入社して7年目の31歳の時、妻の一言で独立心が芽生える。35歳までに起業しようと決めた。

  今年7月の退社とともに、店舗候補地を探し、盛岡市菜園の現在地にめぐり合った。「郊外にはあまり魅力を感じない。小さい頃からなじみがある場所で、周辺の店の情報も知っていたので安心感があり、即決した」と話す。なぜペンか聞くと「できるだけ身近なもので価値を伝えたいものが筆記用具だった」。また、「子どもの頃から靴などが他人とかぶるのも許せないほど、物を選びにはこだわりがあった。オリジナリティーあふれた商品を販売しようと決めた」という。

  店には老若男女さまざまな人が訪れた。1時間ほど店主と会話を楽しみ、商品を購入していく客もいる。外国製高級車のディーラーは「仕事にも身の回りの物にも、こだわりを持っている。それをかなえてくれ、足を運ぶたびに新しい発見と情報を知ることができるところも魅力だ」と話した。車の購入客に、この店で見つけたアメリカ製のサンキューカードにメッセージを添えて納車するそうだ。

  菊池社長は「物が作られた背景を知り、物を大事にすることを積み重ねると、物事を多面的に見る視点も養われる」と話し「フォルム、重み、厚さ、値段などには、必ず理由がある。付随する機能性と価値を知ってもらった上で、納得して商品を購入してほしいと考え、対面式の接客スタイルにした」と、こだわりを話した。

  「おかげさまで売り上げも上々。目の前のお客さまのために喜んでもらえることをコツコツやっていくのが結果につながるのだと思う。今後は、筆記具と雑貨のそれぞれの専門性をもっと引き出して紹介していきたい」と展望を語った。

  同店は、盛岡市菜園1の6の16、電話613―3873。

  


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