盛岡タイムス Web News 2015年  1月  4日 (日)

       

■ しなやか新ビジネス力 輝く女性起業家たち ウーマナビスタに集う

     
  「フェイスブック」の商用利用を学ぶ、ウーマナビスタの研修会で、講師の話に真剣に耳を傾ける女性たち=昨年11月、盛岡市  
   「フェイスブック」の商用利用を学ぶ、ウーマナビスタの研修会で、講師の話に真剣に耳を傾ける女性たち=昨年11月、盛岡市
 


  女性の活躍が期待されている。女性管理職の登用促進や保育所に入れない待機児童の解消など、安倍政権も女性支援策を成長戦略の中核に位置付ける。政策の中身は賛否両論あるものの、女性の力が社会経済の発展に求められているのは事実だ。出産や子育て、介護など、女性が働く上で越えなければならないハードルは多い。それでも、自分の生き方を見つめ直し、年齢に関わりなく、夢の実現に挑戦している人は少なくない。強く、しなやかに生きる女性起業家の今を見つめ、シリーズで紹介する。

  昨年11月14日、午後7時、盛岡市のアイーナの研修室では、女性ばかり13人が参加し、インターネット上のSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)「フェイスブック」を、ビジネスにどう活用すべきか真剣な表情で学んでいた。講師は、いわて産業振興センターでICT(情報通信技術)やマーケティングを担当する中村春樹さん。初心者のためのアカウントの取得方法から、ウェブを利用した広告、マーケティングまで、参加者個々のレベルを見ながら、知っておくべき基礎知識を解説した。

  この研修を企画したのは、岩手で働き、学び続ける女性チーム「Womanabista Iwate(ウーマナビスタ・イワテ)」。2014年7月に発足した。個人事業主や起業家、起業を目指す人が仕事について共に学び、知識や技術をシェアしたり、協力してイベントを開催したりして成長することを目的にしている。メンバーは30〜50代の30人余り。講師への謝礼など研修やイベントにかかる経費を均等負担して運営している。

  子どもを抱っこしながら、時間を惜しんで学ぶ若い母親や、起業を目指し日中の会社勤めを終えて出席するOLも。同市内でリトミック教室を開く田村真理子さん(43)は「周りのレベルが高く刺激になる。プレスリリースの仕方も、ここに参加して初めて学んだ」、フードコーディネーターの浅沼賀子さん(39)も「違う職種の人が集まっていて新鮮。ステップアップにつなげたい」と意欲を燃やす。研修前には、自分が企画した教室やイベントの案内チラシを配る会員もいて、女性たちの「やる気」がみなぎった。

  「ウーマナビスタ」を仕掛けたのは、自身も13年7月に起業したドリームスケッチ社長の今野和美さん(45)。岐阜県出身の今野さんは、リクルートで旅行雑誌の編集などに携わったあと、結婚を機に盛岡へ移住。フリーライターとして働きながら、会社設立にこぎ着けた。小学生と幼稚園児の2人の娘がいる。

  同社は子育て世代が必要とする情報をまとめ、ウェブ上で無料配信する「子育てノート」や、専門家から子育ての知識を学ぶ「いわてパパママ大学」などを企画運営。子育てを頑張る人、それを応援する人をつなぐ「子育て応援会社」を目指している。

  「子育ての応援は、子どもたちの未来を応援すること。そのためには子育てをしている人、働く女性も応援しなければ」と今野さん。女性が起業やビジネスそのものを継続的に学べる場が、県内には、まだ少ないという現実にぶつかり、ウーマナビスタを立ち上げた。

  子育てが一段落して再就職を目指す女性は多い。子育てを経験したからこそ、発揮できる力もある。しかし、実際には希望する就労条件を満たした仕事を見つけるのは容易でない。簿記やパソコン、医療事務など一見就職に有利に見える資格を取得しても、思い描いた仕事にたどり着ける人はわずかだ。

  「就労条件の合わないところで、もがくのではなく、自分の強みを生かして働くことを考えれば、起業の道もある。つらくても、自分の好きなこと、人生を自ら切り開く実感があることは頑張れる」。そのためにも、ビジネスの知識を学び、仲間と刺激し合うことでモチベーションも高められるチームを作りたかったという。

  2013年、全国の特殊出生率(1人の女性が一生に産む子どもの平均数)は1.43。人口を維持できる水準2.07を大きく下回る。このまま、対策が打たれず、人口減が続けば、2040年には地方の500以上の市町村が消滅するとの試算さえある。社会もようやく、子どもを産み、育てやすい環境に加えて、仕事の上でも自己実現を図れる環境を本気で考え始めている。

  今野さんは「子育てが楽しく、しかも働きやすい社会を作っていかなければ、人口減少は止まらない。愚痴ではなく、建設的に議論して、女性の働き方や子育て環境について提案していけるようなチームに育てたい」と力を込めた。   (馬場恵)


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