盛岡タイムス Web News 2015年  1月  7日 (水)

       

■  成長戦略、地方創生に期待 盛岡商工会議所 人手不足や円安に不安も


     
  新年の地域経済発展を期す参加者  
 
新年の地域経済発展を期す参加者
 

 盛岡商工会議所(谷村邦久会頭)の新年交賀会は6日、盛岡市の盛岡グランドホテルで開かれた。県内の産業界や行政機関などから600人余りが参加。震災復興の加速、地元経済のさらなる飛躍へ決意を新たにした。安倍政権が打ち出す「成長戦略」や「地方創生」に期待が集まる一方、円安による輸入原材料の高騰、人手不足、消費増税後の購買意欲の低下など不安材料を口にする企業経営者も多かった。少子高齢化、人口減少が大きな課題となる中、本格復興を支える足腰の強い地場産業をどう育てていくのか。アイデアと行動力が問われる年となりそうだ。

  県経営者協会の佐藤安紀会長は「震災復興への投資も一段落し、安定期に入ってきている」との見方を示し、健全な形で成長を維持するための努力の必要性を指摘した。「円安は輸出産業にとっては追い風だが、庶民の生活にとっては輸入食材の価格高騰など好材料ばかりではない。輸出型の基幹製造業が利益を上げて、社員の可処分所得が増える構造が実現すれば、円安によるインフレも吸収される」と期待。中小企業が中心の本県では「世界に冠たる企業から部品供給先として選ばれるような技術開発や人材育成などに堅実に取り組んでいく必要がある」とした。

  岩手銀行の田口幸雄頭取は「現状に甘んじることなく、自ら現状を切り開き、工夫、改善していく強い意志を持って臨むことが重要。それがあってこそ、国の成長政略の後押しの効果も表れる」と強調。観光面でも「岩手に来てみたい」と思ってもらえる第一印象を植え付ける発信力が求められるとし、本県を訪れる外国人観光客トップの台湾との相互交流の強化などを挙げた。

  「零細、中小企業の人手不足が深刻。IT関係や事務系は人が余っているが、介護や建設、警備といった分野に人が集まらない」と指摘するのは盛岡市の人材派遣会社ヒューマンライフの若谷祥子社長。「主婦ら潜在労働力をいかに引っ張り出すか。ワークシェアリングやトライアル雇用といった工夫も必要。育てた人材を大事にし、辞めさせないような仕組みづくりが求められる」と語る。

  盛岡商工会議所女性会会長の佐々木祐子東京土地販売社長は「マンパワー不足など不安材料があり、不景気を脱した実感まではないが、アベノミクスに対する期待感はある。女性のパワーがそれぞれの事業の活力になってほしい」と願った。

  盛岡友愛病院の小暮信人副理事長は「来年の4月から新施設がオープンする。地域包括ケアが実現する新病棟。検診センターや多目的施設を多く取り入れ、高齢者ケアが万全、画期的な施設になった」と意欲を燃やす。

  川徳の中村晋郎常務取締役は「初売りは好調だった。通年で来店者数は伸びているが、1人当たりの商品購入数が減少傾向にある。節約志向が定着しているため、もうバブル期のような好景気は来ないものだと考えている。商品展開や接客対応を地道に努力していく」

  盛岡ターミナルビルの大見山俊雄社長は「新店舗を積極的に入れるなど、顧客に合ったサービスを提供することに努めているが、売り上げは前年並み。今年は顧客のニーズと店舗構成のずれを是正し、顧客満足度を高めるべく、先手先手の商品展開をしていく」

  フォーチュンの村上一男社長は「輸出が全く増えていない状況から見て、アベノミクスはバブル期を作り上げたと思っている。新事業は不景気の時に始めると伸びると言われているが、景況感も鑑みて自社はそこまで手が届かない」と話した。

  兼平製麺の兼平賀章社長は「景気は悪くなると思う。食品関連業界は、5年ほど前から原材料が徐々に高騰しており、回復の兆しが見えない。燃料費も上がっている。高齢化や人口減少は、食品の消費量に関わる問題でもある」と厳しく受け止める。「円安が悪化すれば輸入が難しいため、国産の材料で賄う必要が出てくる。今年は地場の食材を使った商品を開発し全国に広げることに注力していきたい」。

  鹿島建設盛岡営業所の佐藤仁志所長は「業界的には好調だが、長期的な視野で見れば分からない。復興需要が落ち着いた次の展開を考えていかなければ」と気を引き締めた。

  東山堂の玉山哲社長は「盛岡の全体の小売面積は増えているものの、郊外に集中しているのが現状。地域循環型経済を促進させるため、産官学との連携を深める必要性がある。大学は民間よりグローバル化が進んでいる。そういった学生を地元で採用できるよう企業のてこ入れと設備投資が急務だ」

  ホテル東日本の鈴木直一社長は「北東北3県の観光業界は震災後厳しい状況が続いている。学会や大会などの誘致を望む。自社はこれまで以上にサービス向上に努め、リピーターを増やす策を講じていく」と語った。

  アサヒビール岩手支社の梅垣幸嗣支社長は「内陸と沿岸の景況感の差を感じる。冬場は特に沿岸への足がさらに遠のくため、道路などの交通網の整備を強く望む。観光客を誘致するためには、県外との交流と宣伝を進めることが、県の経済回復につながると考える」と展望を描く。

  菊の司酒造の平井滋社長は「増税先送りに対する消費者の安心感を感じる。昨年の春の増税後から年末を乗り越えリセットされたようだ。今年は、自社のブランドイメージを守り、基本に忠実な商品作りに励んでいくつもり」と話した。


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