盛岡タイムス Web News 2015年  1月 18日 (日)

       

■ 〈ジジからの絵手紙〉80 菅森幸一 毛糸巻き

     
   
     

 戦後の食と住の問題は深刻に語られているが、衣の問題は割と軽視されがちである。配給された衣料切符で衣服が買える仕組みにはなっていたものの店には全く品物がないのだ。したがって自給自足を強いられ、特に女性は裁縫の技術が必修で古着再生の特技が重宝された。

  ジジの母さんは和裁が得意で器用にリサイクルしたものを着せてくれたが、何しろ材料不足だから父さんのシャツやバアちゃんのももひきなどで作った衣服を着せられた。珍妙な格好で学校に行ったものだが、誰も笑うものなどいなかったね。

  夏の間は我慢できても盛岡の冬の寒さは厳しい。古いセーターなどから毛糸をほごし、それをつないで新しく編み直す作業はどこの家でもやっていた。いろいろな種類の毛糸が混じったセーターは見事に奇妙奇天烈(きてれつ)な作品に生まれ変わった。

  古い毛糸の再生作業の一つに毛糸巻きがある。両腕で毛糸の束を支え、毛糸を玉に巻く人が巻きやすいように腕を回すのだが、大抵は子どもがやらされた。ジジは退屈で単調なこの作業が大嫌いだったが、目の前のおやつに目がくらみ結局は母さんの意のままに操られたもんだよ。


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