盛岡タイムス Web News 2015年  1月 19日 (月)

       

■  岩手の気候生かし夏イチゴ 栽培普及と流通化へ 秋冬以外にも国産品を なつあかり研究会発足 生産者ら50人で初会合


     
  夏場のイチゴ栽培の拡大に向け開かれた岩手なつあかり研究会の初会合  
  夏場のイチゴ栽培の拡大に向け開かれた岩手なつあかり研究会の初会合
 

 一般的に冬から春が旬のイチゴは、夏秋は消費量の多くを輸入に頼っている。洋菓子店などでは年間を通じてイチゴを使用するため、夏場でも高品質の国産イチゴのニーズは高い。冷涼な気候から東北や北海道は夏のイチゴ栽培の適地とされる一方、青森県などの一部が盛んで、本県では栽培に取り組む農家はそれほど多くない。夏イチゴの産地化に向け、栽培技術や流通などの情報交換を行う岩手なつあかり研究会(代表・岡田益己岩手大学名誉教授)が発足し、取り組みを始めた。

  研究会の名称にもなっている「なつあかり」は、農研機構・東北農業研究センターが育成した夏にも収穫できる四季成り性品種イチゴの一つ。従来の夏イチゴに比べて、果実が大きく、食味が優れるほか、国産イチゴの端境期である夏秋に連続して花がつき、果実を収穫できる特徴を持つ。本県は冬場の栽培は暖房費などで南の産地に比べコストがかさむが、気候を生かした夏場の栽培には優位性がある。

  盛岡市上田の岩手大学で13日、同研究会の初会合が開かれ、生産者や菓子店、流通などの関係者約50人が参加した。

  生産者からは「夏場近くになるといつまで出荷できるかと聞かれていたので、夏イチゴをやってみようと今回出席した。以前は夏イチゴの味を心配したが、なつあかりを食べてこれならばと思った」と生産に意欲を示す声があった。

  洋菓子店からは「夏はイチゴを一切使っていなかった。なつあかりを紹介してもらい、使ったことで、確実に夏においしいイチゴを提供できることが分かった。ショーケースを彩るには、赤いイチゴが乗っているかいないかで売り上げも変わる。夏の四季成りのイチゴは、お菓子屋さんにはなくてはならないもの」との意見が出た。

     
   夏にも収穫できる四季成り性品種なつあかり(東北農業研究センター提供)  
   夏にも収穫できる四季成り性品種なつあかり(東北農業研究センター提供)
 


  一方、現在は生産者が少数のため安定した供給が課題。「色や形がそろったものをケーキの単価に極端に負担が掛からない程度で供給してもらえれば、ずっと使っていける」との要望もあった。

  同研究会では、なつあかりに限らず、本県での夏イチゴの栽培を拡大するため、生産や流通、消費などさまざまな視点で連携し、意見交換や先進地の見学などを実施していく。県内でも夏場の気温が低い沿岸部での栽培も促進し、東日本大震災津波からの三陸復興にもつなげたい考え。

  2014年から雫石町でなつあかりの栽培を始めた生産者の一人で、同会の事務局を務める田原浩志さんは「販路拡大も含めた仕組み作りができていけば素晴らしい会になると思う。夏イチゴの生産に興味がある人がいれば、ぜひ参加してもらいたい」と話す。

  岡田代表も「生産者が1人2人だと物がないときに出荷できない。ネットワークを使ってお互いが補助し合い、顧客にいつでも供給できる体制をつくりたい。もう一つは、お互いが技術を高め、アイデアを出し合うことを目指したい。最終的には岩手が夏のイチゴのおいしいまちだというような評判がたち、供給できるシステムができればまちづくりにもつながっていく」と今後に期待した。

  岩手なつあかり研究会への問い合わせは、事務局(電話019―618―3315)まで。


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