盛岡タイムス Web News 2015年   1月   27日 (火)

       

■  ILC 理系女子が旗振り 岩手大 工学ガールズ 学生が児童にやさしく 盛岡広域振興局 小学校へ出前授業


     
  児童のILC理解に向け出前授業の講師を担う工学ガールズ  
  児童のILC理解に向け出前授業の講師を担う工学ガールズ
 

 北上山地が国内候補地の国際リニアコライダー(ILC)の次世代への理解を促進するため、岩手大学工学部の女子学生で組織する工学ガールズが立ち上がった。同ガールズは、2013年5月に設立された県理系女子育成研究会の会員で、大学1年から院生まで20人で組織。15年度から盛岡広域振興局が実施するILC出前授業で小学5、6年生の講師を務める。同大で26日、高エネルギー加速器研究機構(KEK)の藤本順平さんを迎えてのILC学習会が開かれ、学生11人が児童への指導のポイントなどを学習した。

  ILCは、18年建設着手、24年施設完成、30年運用開始が見込まれる。ILC出前授業は、ILC運用開始時に社会人となる小中学生が科学やILCに対する関心を持ち、進学や就職などの選択に活用してもらえるように開催。児童と比較的年齢が近く、学生自身もILCを学びながら理解を深めていけるという観点から同ガールズに講師の白羽の矢が立った。

  同日の学習会で、藤本さんは小学校などでのILCの授業の経験を踏まえ、45分間の授業では、説明と実験に半分ずつ時間を使うことで児童の集中力を持続させることができることなどを教えた。ILCの仕組みを理解してもらうことは難しいため、設計図では端から端まで歩くと約8時間掛かること、霧箱を用いた実験であらゆるものが粒でできていると実感させることなど、児童に分かりやすい説明を心掛ける。

  藤本さんは「宇宙が見せてくれる姿を見るのではなく、隠された姿を見るためには加速器が一番。ILCは世界がみんなで一緒になって、真っすぐに衝突させる機械を使う実験。ILCを使えばあらゆるものが粒でできていることの重要性、粒の決まりが分かる。みんなが一緒になって、より豊かに、楽しく暮らせる未来を作ることを目指して実験は行われる」と話した。

  同ガールズのILC担当、鎌田栞さん(岩手大工学部1年)は「ILCということを小学生は全然理解できていないと思う。知識を広め、岩手にそういうすごい装置ができることを伝えたい。その装置を使うことで、いろいろな可能性があることを教え、将来の夢につなげていける学習の手助けができれば。言葉だけでは難しいと思うので、絵やイラスト、実験などを多く入れ、より身近に感じてもらえるよう工夫したい」と意気込む。

  和田由紀さん(同1年)は「ILCについて自分たちでも分かっていない仕組みがあったので、そこを理解した上で教えたい。ただ知識を与えるだけでなく、実際に実験など児童に何かしてもらった方が印象に強く残り、興味を持ってもらえると思う」と話した。

  今後、同ガールズは数回のILC学習会で、出前授業に向けて児童が理解しやすいような教材の製作や授業の進め方などを学んでいくほか、茨城県つくば市のKEKの見学なども予定。15年度は盛岡教育事務所管内の小学校で8月1校、9月2校開催する出前授業で講師を務めることになっている。

  盛岡広域振興局の松川章副局長は「地域が復興していった先に新しい岩手を作るため、県ではILCの誘致活動を進めている。学生やもっと若い小中学生にILCを理解してもらい、こういう施設ならみんなで造っていこうという気運をつくりたい。ぜひ次代を担う人たちにILCの意義や仕組みを伝えていただき、みんなで理解し、支えていけるようになれば」と工学ガールズの活動に期待した。
 


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