盛岡タイムス Web News 2015年   1月   30日 (金)

       

■  〈潮風宅配便〉235 草野悟 高嶺の花・高値のナメタ


     
   
     

 潮風と書いて「うみかぜ」と呼びます。三陸の爽やかな潮風が芳醇(ほうじゅん)な海の幸を運んできます。私はかねがね、岩手三陸の魚介類は世界一だと信じてやみません。証拠に、食べる前からヨダレが流れるのは、三陸物以外ないからです。

  昨年末、恒例の「クリスマス釣りー」に友人たちと出掛けました。狙いは当然、年末になると急激に高騰するあのナメタガレイです。前夜、50aを釣り上げた夢を見ての釣りでしたが、結果は惨敗です。1匹も釣れませんでした。釣り人のプライドとして、決して魚屋で買わないと誓っているもので、正月年越しナメタは、とうとう食べずに直利庵のそばで済ませました。

  ところが、1月16日。毎年必ず行っている「神田会」というのがあり、直利庵に出掛けました。神田会の会長は、あの三陸海の博覧会の立役者神田隆さんです。78歳となった今でも、頭脳明晰(めいせき)、記憶力抜群、お年を感じさせない立ち振る舞い。さすがに後光が射しておりました。で、その時に出てきたのが「ナメタの煮つけ」です。釣り人のプライドはどこかに飛び、神田会長などの話は左の耳で聞き流し、真っ白で身の厚いナメタに悩殺。黙々と食べ続けました。ほっぺが落ちてしまい、探すのに苦労しました。直利庵親方の煮つけは「うますぎ」の一言です。北海道利尻の昆布と本枯れ節と日本酒で味を調え、濃い目の仕上がりながら、あっさりとした甘じょっぱさが最高です。口いっぱいに幸せが襲ってきます。脇役のゴボウにまで味が染みつき、もう周囲の話が全く聞こえなくなります。ナメタガレイ、とうとう食べてしまいました。釣り人失格です。この罪なナメタの煮つけと、そば湯で割った焼酎のうまいこと。直利庵の親方、ただ者ではありません。料理人です。
(岩手県中核観光コーディネーター)


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