盛岡タイムス Web News 2015年  9月 9日 (水)

       

■  旗じるし消え候補迷走 盛岡選挙区 知事選との連動ならず 与野党とも求心力失う

 

     
   いわて県民クラブの及川敦県議(左)の応援も得て初当選した千葉絢子氏。同会派のベテラン佐々木博氏は涙をのんだ=6日、盛岡市三本柳の選挙事務所  
   いわて県民クラブの及川敦県議(左)の応援も得て初当選した千葉絢子氏。同会派のベテラン佐々木博氏は涙をのんだ=6日、盛岡市三本柳の選挙事務所
 


  「県政に対して与党とか野党とか狭い視野であってはいけないと思う。知事に対しても良いことは良い、悪いことは悪いと言い、政策提案できる政治家でありたい」。定数10に11人が立候補し、少数激戦となった盛岡選挙区。開票日の夜、無所属新人の千葉絢子氏(37)は、こう話し、無所属議員で構成する県議会会派いわて県民クラブで活動する考えを示した。千葉氏が1万6千票の大量得票でトップ当選する一方、5期目を目指した無所属現職の佐々木博氏(63)は約600票差で落選、明暗を分けた。

  盛岡選挙区の最後の1議席は、達増氏の元秘書で生活新人の阿部盛重氏(57)と、民主党分裂を経て無所属に転じ、知事選に平野達男参院議員を推した佐々木氏が争った。

  達増知事は選挙戦最終盤、妻の陽子さんと佐々木氏の地盤である緑が丘、黒石野地域の支持者を訪ねて回るなど集中的に阿部氏を応援。4日、市内の繁華街で行われた街頭演説会でも「阿部さんがいなければ、希望郷いわてを実現する会は完成しない」と力を込めた。

  生活の党率いる小沢一郎衆院議員を師と仰ぐ達増知事は、自公政権への対決姿勢が時にむき出しになる。2011年9月から2年間、県議会議長を務めた佐々木氏は「議長の前半は民主党政権、後半は自民党政権。岩手への風当たりの違いを肌で感じた」と言う。

  「首長に、ある程度の政党色が付くのは致し方ない。しかし、政局にまで口を挟み、国と対決するのはいかがなものか。一番困るのは被災地の住民」。知事選では平野氏を支持する「開かれた県政を創る会」の会長を務め、政治姿勢を厳しく問う構えだった。

  一時は県内市町村長や業界団体の多くが平野氏を支持。勝敗はともかく知事の政治姿勢を問う舞台は整っていた。だが、肝心の平野氏が土壇場で不出馬表明。決戦前に大義を失い、自身の戦いも失速した。

  無所属での戦いは国政政党の縛りを受けない分、党の後ろ盾を得られないハンデが大きい。議員同士の連帯感も政党ほど強いとは言えない。及川敦県議(48)らいわて県民クラブの結成に携わったベテラン議員が県議会を去る中、要の一人となるはずだった佐々木氏の落選は、会派にとっても痛手となった。

  一方、 県都で初議席を得た生活の党も手放しで喜べる状況ではない。知事自ら、てこ入れしたのにもかかわらず、お膝元の盛岡で得た票は6699票。多くの陣営が当選ラインと読んだ9千票には遠く及ばず、民主党分裂前の同志の票を食い合って辛うじて当選圏に滑り込んだ。

  長年、小沢派を支えてきた後援者の一人は「結局、票がないから、昔の仲間を侵食するしかない。小沢先生一辺倒の常識を疑い、新しい支持層を開拓しなければ明日はない」と危機感を募らせる。

  政党の影響力低下は生活だけではない。安保法案をめぐる世論もあり共産、社民、公明の各党は、党の主張を前面に組織戦を展開したが、自民、民主両党の存在感は薄い。保守系陣営の幹部は「盛岡では有権者の半分以上が無党派層。政党色は抑え、無党派層の支持を集めるのが得策。県議選に政党選挙はなじまない」と言い切る。

  改選された県議会は、議員48人中、17人が政党に属していない。無所属議員の動向が議会の意思を左右する可能性もあり、達増県政にとっては波乱の要素が大きい。政局にとらわれず、県民のニーズに真っすぐ向き合うことができるのか。知事にも、議員にも厳しい目が注がれる。
      (馬場恵)


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