盛岡タイムス Web News 2015年  9月 26日 (土)

       

■ 〈体感思観〉 編集局 馬場恵 岩手を救う人材力


 
 人口減少を克服し、地域を活性化するための戦略づくりが各自治体で進んでいる。どの計画も、若者を首都圏に流出させない雇用の場づくりや、出生数を増やすための結婚、子育て支援などがメーンテーマだ。地域を持続的に維持するためには、つまるところ、これに取り組むしかないのだが、「じゃあ具体的に何するの?」 と問われて、膝を打つようなアイデアは、なかなか浮かんでこない。

  23日に、高校生たちが岩手の若手起業家と語り合い、地域の将来や自分自身の夢について考えるイベントを取材した。ゲストは、先細りの漁業を支え、新たな雇用の場を生み出そうと釜石市で食品加工会社を起業した大阪出身の中村博充さん(28)ら3人。

  それぞれ地域課題を解決するため、自らリスクをとって動いている。事業に懸ける思いは熱い。岩手で働く同じ社会人として、何となく過ごしている自分が恥ずかしく、「まずは置かれている場所で、できる努力をしなければ」と身が引き締まる思いだった。

  このイベントを企画したのは盛岡三高3年の瀧本佳央さん。高校2年でアルゼンチンに1年間留学したというバイタリティーの持ち主だ。今年5月、社会起業家など次世代型リーダーを育てるオープンアカデミーに参加。全国から釜石市に集まり、地域興しに奮闘する「釜援隊」の活躍に触れ、「こんな大人もいるんだ、地域のために努力する大人ってカッコイイ!」と感動したという。この衝撃を、周りの高校生にも感じてもらいたいと行動を起こした。

  瀧本さんらの呼び掛けで集まった高校生たちの意識も高い。「障害者や高齢者の暮らしを支え、介護にも役立つような機械を開発できないか」「糖尿病の治療は対処療法が中心。そもそも病にならないようにするため、食物の供給体制から見直す研究をしたい」

  将来ビジョンは発展途上だが、真っすぐな発言を聞いていると、岩手もまだまだ捨てたもんじゃないと思えてくる。

  人づくりが「地方創生」の大きなカギを握っていることに疑う余地はない。若い芽を育て、活躍できる環境を整えることが大人の大事な役割だ。高い意識を持ち、臆せず行動できる若者を増やすためにも、視野を広げられる機会を、さらに増やす必要があると思う。


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